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宋美玄先生監修コラム
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女性ホルモンのエストロゲンってなに?

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女性誌や女性向けwebメディアではしばしば、「女性ホルモン」が「フェロモン」と混同して使われていることがあります。これが大量に分泌されれば、肌も髪もツヤツヤ、女性としての魅力が増して男性に振り向いてもらえます! とあおられると、多くの女性が「女性ホルモンを増やしたい」と思うのもしかたないことです。が、フェロモンとは動物の体内で分泌されて体外へ放出されるもので、女性ホルモンとはまったくの別モノです。

フェロモンには異性へのアピールだけでなく、危険な状態を知らせる役目を負ったものもあり、フェロモンが出る=モテるという図式は成り立ちません。また、ヒトが異性にアピールするフェロモンを出しているか否かはいまだ明らかにされていなのです。

女性ホルモンとは?

女性ホルモンには「妊娠できるよう身体を整え」「妊娠したらその状態を維持し」「無事に出産する」という目的があります。そのために2種類のホルモン=エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)がバランスを取りながら分泌されているわけですが、その状態が女性の体と心にとって必ずしも「快適」な状態ではないこともあります。生理の前に気分が不安定になったり、吹き出物ができたり……多くの女性にとって身に覚えがあることですよね。そんな不調と女性ホルモンの関係をあらためて振り返ってみましょう。
女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、約28日のサイクルで分泌量がそれぞれ多くなったり少なくなったりします。まずはエストロゲンが私たちの心身にもたらす変化をご紹介します。

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エストロゲン(卵胞ホルモン)

主に卵巣から分泌されます。思春期から分泌がはじまり、20~30代は安定して分泌されます。その時期は、妊娠・出産に適しているといえます。

エストロゲンの主な働き

・子宮に作用して、子宮内膜を増殖させ、厚くすることで「受精卵のベッド」を作る
・思春期に乳房を発達させる、乳腺の発達をうながす
・肌や髪をツヤツヤにするなど、女性らしい身体を作る
・自律神経を安定させる
・骨を丈夫にする
・脳の働きを活発にする

エストロゲンの分泌量が少なすぎると…

・乳腺の発達が止まる
・肌や髪のツヤがなくなり、抜け毛が多くなる
・自律神経が乱れる
・骨粗しょう症にかかりやすくなる
・認知症のリスクが上がる

エストロゲンの分泌量が多すぎると…

・乳がん、子宮体がんのリスクが高まるといわれる

エストロゲンは排卵期に最も多く分泌され、月経期に向けてその分泌量が少なくなります。また、日本人の平均閉経年齢は約51歳といわれていますが、その時期が近くなると分泌量が減っていきます。この急激な変化により身体に不調をきたすことを“更年期障害”と呼ぶことは、みなさんもご存知でしょう。

その症状の表れ方は個人差が大きいですが、自律神経が乱れてホットフラッシュという突発的なのぼせが出たり、眠れなくなったりといった不安定な状態が続く人は少なくありません。あるいは、高脂血症や動脈硬化、骨粗しょう症、認知症などさまざまな疾患のリスクが高まります。エストロゲンがいかに女性の健康と密接に関わっているかがよくわかります。

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では、エストロゲンは多いほどいいのか?というと、そんなことはありません。エストロゲンは主に卵巣から分泌されますが、脂肪組織の影響で合成されることもありますので、肥満の人は注意が必要です。エストロゲンが多すぎることでリスクが高まる疾患もあると考えると、「エストロゲンを増やして、お肌をツヤツヤに!」という単純な話でないことがわかるでしょう。

大豆など一部の食品に含まれている“植物性エストロゲン”が女性の美容によいとされていますが、過剰摂取には気をつけましょう。おいしく食べるぶんには結構ですが、エストロゲンを増やしたいという思いで大豆製品ばかり食べるのは本末転倒です。

まとめ

大事なのは、エストロゲンとプロゲステロンがバランスよく分泌されること。女性ホルモンは、美容の道具ではないのです。まして望んだところで都合よく分泌量が増えたり減ったりするものでもないことは覚えておきましょう。

この記事の監修

宋 美玄 (ソン ミヒョン)
丸の内の森レディースクリニック 院長 医学博士
日本周産期・新生児学会会員
日本性科学会員
2児の母であり子育てと産婦人科医を両立。テレビ・ラジオ・雑誌連載などメディアへの積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓発活動を行っている。

丸の内の森レディースクリニック
https://www.moricli.jp

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