女性のライフステージに合わせた情報をお届け

宋美玄先生監修コラム
公開日 :
更新日 :

4人に1人は高齢出産

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

現在、35歳以上の人が出産すると「高齢出産」と呼ばれます。日本では年間100万人の赤ちゃんが生まれていますが、そのうち4人に1人のママは高齢出産。すでに高齢出産は珍しいことではなくなってきています。そのメリットとデメリットについて正しく知っておきましょう。

高齢出産の本当のデメリットとは?

世の中には「高齢出産だと障害児が生まれやすい」という偏った情報が広がっており、高齢出産のデメリットと聞くと、そのことを真っ先に考える人もいるかもしれません。確かに、子どもの先天的な障害は、母体の高齢化による「卵子の老化」が原因の1つではありますが、その確率は数パーセント。それよりも実は、卵子の老化の影響は「妊娠しにくい」「流産しやすい」ということの方に現れます。

例えば、40歳の人がダウン症の子を出産する確率は約1.1%なのに対して、流産率は約40%。流産する確率の方がはるかに高いことが分かります。卵子が老化して染色体にエラーが発生すると、そもそも受精できないことも多く、受精しても着床するのが難しくなるので、妊娠しないことの方が多くなります。そして、着床しても育ち続けられずに流れてしまう確率も高まるのです。
ですから「障害児が産まれるかも…」という心配は、高齢妊娠を躊躇するほどのデメリットにはなりません。本当のデメリットは、不妊と流産率の高さにあると覚えておきましょう。

ライフプランと早めの相談がカギ

逆に高齢出産のメリットは、社会経験を積み、精神的・経済的にも成熟しているので、余裕をもって子育てができることだといえるでしょう。だからと言って「まだまだ子どもは産めるでしょ?」「しばらくは2人きりの生活を楽しもう」と、無計画に妊娠を先延ばしするのはおすすめできません。ずるずるとそのままになって、高齢不妊に陥ってしまうパターンもあるからです。年齢が上がるほど妊娠しにくくなるという事実を踏まえて、早めにパートナーとライフプランを話し合い、「しばらくは2人きりの生活を…」の「しばらく」の期間をあらかじめ決めておきましょう。

妊活を始める場合も、ある程度期間を決めて動くのが大切です。例えば現在35歳未満なら、基礎体温を測って排卵時にタイミングを合わせても6カ月間妊娠しなければ不妊症の疑いがあるので産婦人科で検査するのがおすすめ。35歳以上なら3カ月で受診を考えてもよいでしょう。そのくらい、妊活は時間との勝負。産婦人科への相談は早めにするのが安心です。検査する場合は、不妊の原因は男女半々にあるので、パートナーと2人で検査しましょう。

妊娠時に起こり得るリスクを知っておこう


高齢の妊娠・出産で起こりやすくなるリスクについては、次のようなことが挙げられます。事前に知っておくと心構えができますね。もちろん、これらは34歳以下でも起こり得ることです。また、ハイリスクになるとはいえ、高齢プレママのほとんどは健康に出産します。あまり怖がらず、でも侮らずにいきましょう。
・胎児の染色体異常…前述のとおり、年齢と共に上がっても数%程度です。35歳で約0.33%、40歳で約1.1%、45歳で約4.5%。年齢に関係なく、全体では3~4%の赤ちゃんが何らかの障害を持って生まれてきます。

・妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病…くわしくは「安定期もノーリスクではない!?」をご覧ください。
・前置胎盤(ぜんちたいばん)…通常、子宮のてっぺん側にできる胎盤が下にでき、子宮口を覆ってしまう状態。子宮が大きくなるにつれて上に上がることも多いですが、そのままの場合は帝王切開術になることも。
・難産…陣痛が十分に強くならない微弱陣痛や、赤ちゃんの回りが悪い回旋異常などで出産が順調に進まず長引くこと。経膣分娩が難しい場合は、帝王切開術になる場合もあります。
・帝王切開術…お腹と子宮を切開して赤ちゃんを取り出す手術。何らかのトラブルで経膣分娩が難しい場合に行われます。

34歳以下がすべて「ノーリスク」ではありません

高齢出産というラインが35歳で引かれていたとしても、34歳までと35歳の出産が急に大きく変化するわけではありません。34歳以下でも、一定の確率で胎児の染色体異常や、流産も起こり得ますし、出産時のトラブルも起こり得ます。妊娠できるかどうかのリスクは年齢と共に上がりますが、いざ妊娠したら、出産に関わるリスクは、年齢に関わらず等しくあることも心得ておきましょう。そして、誰にとっても出産は奇跡であり、尊いものだということを知っておいてくださいね。
妊娠しにくいリスクを乗り越えたら、高齢だからといって必要以上に不安がらず、正しい知識を持ってポジティブに出産に臨みましょう。

この記事の監修

宋 美玄 (ソン ミヒョン)
丸の内の森レディースクリニック 院長 医学博士
日本周産期・新生児学会会員
日本性科学会員
2児の母であり子育てと産婦人科医を両立。テレビ・ラジオ・雑誌連載などメディアへの積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓発活動を行っている。

丸の内の森レディースクリニック
https://www.moricli.jp

※本記事の無断転載及び複製等の行為は禁止しております。
※本コラムに記載されている一切の情報は、その効能効果、安全性、適切性、有用性、完全性、特定目的適合性、最新性、正確性を有することを保証するものではありません。詳細については、「サイトご利用にあたって」第4項をご確認ください。