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妊活中に知っておきたい子宮の病気と妊娠への影響

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子宮の病気にどのようなものがあり、妊娠への影響について事前に把握しておくことも、妊活において大切なことです。放っておくと不妊のトラブルにもつながる子宮の病気について、その症状や治療法をご紹介します。

子宮の病気は不妊の原因にも

子宮の病気は増えている?

昔の女性に比べて、現代女性は生涯の生理回数が増えています。戦前には50回から100回だったものが、今は約450回ともいわれています。これは、閉経時期は変わらないのに初潮が早くなったことや、少子化が進み出産回数が減ったことによると考えられています。生理の回数が増えると子宮への負担も増加します。さらに働く女性が多くなり、ストレスも増加傾向に。その影響もあって、病気のリスクが高まっているのです。

子宮のトラブルで妊娠しづらくなる理由

子宮は赤ちゃんのベッドになるもの。子宮に筋腫などができていたり、癒着が起こっていたりすると、排卵や受精卵の着床が阻害されることがあります。無事に着床しても、流産や早産のリスクが高まることもあります。

妊活を始めたら検診を受けよう

重い生理痛や不正出血は子宮のトラブルのサインにもなりますが、病気によっては自覚症状がないものも少なくありません。気づかずに妊活を始めて、授かりにくいと思って検査をしてから病気が分かることも。時間のロスを無くし、体の負担を軽減するためにも、赤ちゃんが欲しいと思ったら早めに検診を受けるようにしましょう。

子宮の主な病気

子宮筋腫

女性ホルモンの影響によって大きくなる良性の腫瘍で、閉経後には小さくなります。複数個できることが多く、放置しておくと数キロまで大きくなることも。なぜできるのか、はっきりとした原因は分かっていません。

症状

筋腫がどこにできるかによって症状は異なります。子宮の内側にできると症状が重く、外側にできると進行するまで症状が出にくい傾向が。主な症状は、生理時の出血が増えることや生理以外での出血、生理痛、腰痛、頻尿。大きな筋腫には約0.5%の割合で悪性の子宮肉腫が見つかるといわれています。

子宮筋腫の種類

検査

内診と経腟超音波検査で比較的見つけやすいものです。手術をする場合はMRI検査をすることも。急に大きくなったり更年期以降も大きくなり続けたりすると、子宮内の筋肉に発生する悪性の腫瘍である「子宮肉腫」の可能性があり、この場合もMRI検査で確認します。

治療方法

症状が無かったり、軽かったりする場合、治療は不要。症状が強い、もしくは不妊の原因になっている場合は手術や薬での治療が必要になってきます。
手術には、子宮を全て取ってしまう方法と筋腫だけを取る方法があります。腹腔鏡手術も増えていますが、大きさなどの条件によっては受けられないことも。また、手術前や閉経前の一時的な治療として、点鼻薬や注射薬を使う場合も。女性ホルモンの分泌を抑えて、筋腫を小さくするものですが、更年期のような症状が出ることもあります。医師と治療法を相談しながら、個々にとって最良の方法を選んでいきます。
その他の治療方法としては、ピルで生理を軽くするものや、子宮の動脈を塞いで筋腫への栄養供給を止める子宮動脈塞栓術(妊娠を希望する人には通常行わない)があります。

子宮内膜症

子宮内膜やそれに似た働きをする組織が、子宮の内側ではない場所にできてしまう病気です。月経血の逆流が理由として考えられていますが、はっきりとした原因は分かっていません。

症状

生理痛、腰痛、下腹部痛の他、排便や性交時に痛みを感じる人もいます。女性ホルモンの影響で増え、痛みを起こします。卵巣や卵管へ癒着すると不妊の原因にも。加齢により女性ホルモンの分泌が減ると症状が治まります。

子宮内膜症

検査

内診や経腟超音波検査で状態をチェックします。不妊症で子宮内膜症が疑われる時は、腹腔鏡検査を行います。

治療方法

痛みを抑えるために鎮痛剤を使用します。妊活中でなければ、低用量ピル、黄体ホルモン剤などで、女性ホルモンの分泌や病巣の増殖を抑えることも。チョコレートのう胞がある場合や薬による治療で効果が無かった場合は、子宮を残して病巣を切除する手術、もしくは子宮・卵巣の摘出手術に。再発頻度が高いので長期の経過観察が必要になります。

子宮頸がん

子宮頸がんとは、子宮の入り口から約1/3までの子宮頸部にできるがんのこと。日本では、女性の74人に1人が罹患しています(※)。性交渉によりヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頸部に感染してできるもので、子宮頸がん患者のうち90%以上からこのウイルスが見つかっています。感染しても約90%の人は2年以内にウイルスを排除できますが、残りの約10%は感染が持続し、自然治癒しないとがんに進行する恐れがあると考えられています。また、喫煙も子宮頸がんの危険因子といわれています。
※出典 「人口動態統計2015年」

症状

発症していても、初期の段階では自覚症状がありません。進行してから、生理時以外での出血やにおいの強いおりものといった症状が見られます。

検査

子宮頸がん検診では、子宮頸部を綿棒などでこすって細胞を取り、顕微鏡でチェックする細胞診が行われます。検査の結果、がんの疑いがある場合は、疑いのある部分の組織検査や、拡大鏡を使ったコルポスコープを行います。ここで子宮頸がんと診断されると、内診、CT、MRI、内視鏡検査などで病気の広がりなどを調べます。
早期発見・早期治療が大切です。若い世代でも罹りやすいがんなので20歳を過ぎたら、2年に1度は検診を受けるようにしましょう。

治療方法

がんの状態によって治療は異なります。がんの前段階である異形成や子宮頸部の表面だけにがんがある上皮内がんの場合、子宮頸部のレーザー治療や円錐型に切除する手術で子宮が残せます。周囲の組織にがんが入り込んでいる場合、その状態によって、子宮のみ、もしくは子宮や卵巣、膣の一部も含めた摘出が必要に。がんが他の臓器にまで広がっていた場合は、放射線治療や抗がん剤治療を行います。

子宮体がん

子宮の奥、約2/3の部分は子宮体部という妊娠した時に胎児を育てる場所です。この部分の子宮内膜にできるのが子宮体がん。卵胞ホルモン(エストロゲン)が影響していると考えられており、出産の経験が無い人や閉経が遅い人、生理不順の人に多く見られる他、肥満、糖尿病、高血圧なども関係するといわれています。近年、日本人女性に増えている病気で、50代から60代で最も患者数が多くなっています。

症状

初期の段階から不正出血が見られます。進行すると血の混じったにおいの強いおりものや腹痛といった症状も。比較的高齢の女性に多いがんなので、閉経後の出血には注意が必要です。

検査

子宮の内部に器具を挿入して細胞を採取し検査する、子宮内膜細胞診が一般的です。器具の挿入が難しい場合は、超音波検査も可能ですが、初期のがんが見つけられない可能性も。不正出血での発見が約90%ともいわれているので、症状があればすぐに受診してください。がんの疑いがあれば、組織検査、内診、直腸診、子宮鏡検査、CT、MRIを行います。

治療方法

一般的には手術で子宮や卵巣、卵管、リンパ節を摘出します。手術が難しい場合は、抗がん剤治療や放射線治療が行われます。初期のがんで、タイプによっては子宮を温存できるホルモン剤による治療も行われます。

子宮の病気の予防法は定期検診

厚生労働省「平成27年度地域保健・健康増進事業報告」によると、平成26年度に子宮頸がん検診を受けた人のうち、2.29%が要精密検査となり、さらにその中の1.86%から子宮頸がんが発見されています。検診を受けたからこそがんを見つけられたと考えられます。にもかかわらず、平成25年に実施された「国民生活基礎調査」によると子宮頸がんの検診の受診率は42.1%。20代にいたっては、わずか22.2%です。

子宮頸がんはワクチンによって予防できるがんといわれています。WHO(世界保健機構)はワクチンの安全性・有効性を認めていますが、日本ではワクチン接種後に副作用と思われる症状が見られたことにより、現在、接種の積極勧奨は行われていません。また、その他の子宮の病気も、原因が明確でないものや自覚症状が現れにくいものがあり、予防が難しいことも。しかし子宮は細胞検査や組織検査が比較的簡単に受けられる場所にあるので、予防、そして早期発見・早期治療につながる検診を定期的に受けるようにしてください。

子宮の病気は、妊娠・出産、ライフプランに関わるものです。もちろん検診を定期的に受診することが大切ですが、たとえ病気が見つかり治療が必要になっても、その後妊娠できる治療もあります。体の知識を持ち、検診をしっかり受け、健やかな妊娠・出産に備えましょう。

この記事の監修

宋 美玄 (ソン ミヒョン)
丸の内の森レディースクリニック 院長 医学博士
日本周産期・新生児学会会員
日本性科学会員
2児の母であり子育てと産婦人科医を両立。テレビ・ラジオ・雑誌連載などメディアへの積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓発活動を行っている。

丸の内の森レディースクリニック
https://www.moricli.jp

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