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妊活中の予防接種&感染症予防ガイド

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妊活中に感染症にかかると不妊につながったり、お腹の赤ちゃんへのリスクが高まったり、妊娠が継続できなくなったりする可能性があります。抗体検査というとハードルが高いような気もしますが、妊活は自分の体の状態を知っておくことが重要です。妊娠の前に健康状態をチェックしておきましょう。

赤ちゃんへの感染を防ぐためウイルスの抗体価を調べよう

妊娠中に感染してしまうと自分だけではなく、お腹の中の赤ちゃんにリスクが及ぶ病気もあります。流行性の感染症は、簡単な検査で抗体があるかどうかチェックすることができます。抗体価が不十分な場合、ワクチンがあるものについては予防接種を受けるようにしましょう。

ワクチンには、「生ワクチン(生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたもの)」と「不活化ワクチン(病原体となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせたもの)」があり、「生ワクチン」の場合、接種後1、2カ月妊娠を待つ必要があるものもあります。パートナーと一緒に、早めに検査しておくとよいでしょう。

風しんの抗体は多くの自治体の保健所で無料で調べられますが、婦人科で導入されている「プレママレディースドック(ブライダルチェック)」で他の検査と一緒に調べることもできます。

抗体価を調べておきたい病気

風しん

妊娠15週(初期)に感染すると、胎児が白内障、心疾患、難聴などを三大症状とする「先天性風しん症候群」になる可能性があります。風しんの抗体の量を調べる「抗体検査」については多くの自治体の保健所で無料で調べられます。法改正により約半数以上の人が風しんワクチンを受けていなかった世代(昭和54年から62年生まれ)もいるので、パートナーも一緒に検査しましょう。
抗体が不十分な場合、風しんとはしかの混合ワクチン「MR」があります。生ワクチンなので、接種後の妊娠は1、2カ月待ちましょう。

はしか(麻しん)

妊娠初期にかかると母体が消耗するため、流産・死産のリスクがあります。風しんとはしかの混合ワクチン「MR」があります。生ワクチンのため、接種後の妊娠は1、2カ月待ちましょう。

水ぼうそう(水痘)

出産直前にかかると胎児にも感染し、小頭症、白内障、四肢の形成不全などが起こる「先天性水痘症候群」になる恐れがあります。ワクチンがありますが、生ワクチンのため、接種後の妊娠は1、2カ月待ちましょう。

おたふく風邪(ムンプス)

妊娠初期に感染すると、流産や低出生体重児の原因となることもあります。ワクチンがありますが、生ワクチンのため、接種後の妊娠は1、2カ月待ちましょう。

リンゴ病

妊娠中にかかるとウイルスが胎児の赤血球に影響し貧血を引き起こす「胎児水腫」という病気になったり、最悪の場合はお腹の中で死亡したりするケースも。ワクチンはないので、周囲で流行した時に感染しないよう、気をつけましょう。

トキソプラズマ

妊娠中に初めて感染した場合、流産や死産のほか、胎児の脳や目などに障害を来たす「先天性トキソプラズマ症」を引き起こす危険性があります。ワクチンはありません。原虫が潜んでいるような、加熱が不十分な肉や猫のフンなどの取り扱いには注意が必要です。

サイトメガロウイルス

唾液や尿、性交渉によって感染します。妊娠中に初めて感染した場合、または妊婦の免疫力が低下した場合、胎児に難聴や脳の障害が起こることが。子どものオムツ交換や鼻水、よだれの処理をした後は流水や石鹸で手を洗うなど予防を心がけましょう。

インフルエンザの予防接種は毎年忘れずに受けましょう

妊娠中にインフルエンザにかかると、胎児に統合失調症が増えるというデータ(※1※2)があることと、高熱により胎児の神経発達に影響を及ぼす可能性もあることから、国際的にもインフルエンザワクチンの接種は推奨されています。

インフルエンザワクチンは胎児への影響がないため、妊娠中の人、妊娠を予定している人、どちらも接種できます。また、不活化ワクチンなので、接種後すぐに妊娠しても大丈夫です。

※1 出典 Psychol Med.2013 Feb;43(2):239-57
※2 出典 Dev Neurobiol.2012 Oct;72(10):1272-6

性感染症も定期的にチェック

忘れずにチェックしておきたいのが、性感染症の検査。何か異変を感じないと病院に行かないという人は多いですが、性感染症は自覚症状がないまま放置すると不妊の原因になることも。「前に1度検査して陰性だったから」「私が性感染症になるはずはない」と思い込まずに、1年に1度はチェックしたいものです。パートナーから感染したり、男性不妊につながったりするものもあるので、一緒に検査を受けることをおすすめします。

クラミジア

日本で最も多い感染症。自覚症状がほとんどなく、クラミジア菌がお腹の中(腹腔内)に広がり、卵管を癒着させることも。卵管が極端に狭くなったりふさがったりすると、精子や受精卵が通れなくなるため、不妊の原因に。男性が感染すると男性不妊になることもあります。

淋病

淋菌がお腹の中(腹腔内)に広がって炎症を起こし、子宮内膜症を悪化させたり卵管を詰まらせたりし、不妊につながるリスクが高い感染症。女性は自覚症状がほとんどありませんが、男性は尿道から膿が出る、排尿時に痛む、といった症状があります。

HIV

AIDSを発症する前のHIVに感染した段階で発見すれば、治療の効果を高めることができます。HIVの主な感染経路は「性的感染」「血液感染」「母子感染」。妊娠中に受ける検査で感染を知るケースもあります。中でも心配なのは、子どもへの感染です。妊娠中から薬で治療をし、帝王切開することで多くの場合母子感染は避けられますが、大事な時期に不安にならないように調べておきましょう。

梅毒

男女共に自覚症状が出ても短期間でおさまってしまうため、何年にも渡って持ち続けることもある感染症。母子感染する確率が高く、胎児も治療を受けることになります。そうならないためにも、妊活を始める前にしっかりとチェックを。

その他、母子感染のリスクがある「B型肝炎」、不妊につながる可能性のある「膣トリコモナス(トリコモナス膣炎)」もまとめて検査しておくのがおすすめです。

この記事の監修

宋 美玄 (ソン ミヒョン)
丸の内の森レディースクリニック 院長 医学博士
日本周産期・新生児学会会員
日本性科学会員
2児の母であり子育てと産婦人科医を両立。テレビ・ラジオ・雑誌連載などメディアへの積極的露出で“カリスマ産婦人科医”として様々な女性の悩み、女性の性、妊娠などについて女性の立場からの積極的な啓発活動を行っている。

丸の内の森レディースクリニック
https://www.moricli.jp

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