健康経営の導入事例オムロン株式会社様

「成果を出す」健康経営にこだわる。人事総務担当者と保健師の強力なタッグで実現する、オムロン株式会社の社員健康増進の秘訣に迫ります!

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~社員の集中力と生産性を高めて、会社を変える!~

今回は、2017年7月3日に「健康経営宣言」を発信したオムロン株式会社(以下オムロン)に取材させていただきました。

日本全国にいる約1万1500人の従業員に対し、たった2人の担当者によって、健康経営の企画の立案から実施まで行っているとのこと! 「健康経営宣言」を出した理由や、取組内容のポイントについて教えていただきたいと思います!

京都駅から徒歩5分、1Fはガラス貼りの素敵なオフィス♪
オムロングループは、血圧計などのヘルスケア製品や工場自動化用センサーなどの制御機器をグローバルに提供している会社。さぞかし忙しくて殺伐としているのでは・・・ そんな不安な私を出迎えてくださったのは、笑顔が素敵な噂のご担当者、グローバル人財総務本部 岩村さんと、保健師の今川さんです。全然殺伐としていませんでした。。。(ほっ)

これまでの取組の課題・健康経営宣言までの経緯

経営層もやる気に!働き方改革を追い風に社員の健康投資に期待が高まる

―オムロンでは以前から社員の健康増進に取り組んでいたということですが、今回改めて健康経営宣言を出して全社的に取り組まれることになった経緯を教えてください。

オムロンでは従来より、法律で決まっている定期健康診断の事後措置や過重労働対策、社員の健康情報の管理システムの整備など、社員の健康増進に取り組んできました。その中で特にオムロンが先駆けて行って来たのは、ストレスチェックの法制化前の2008年度から取り組んでいた、社員のストレスアセスメントです。この狙いは、社員が自身のストレス状態や特徴に気づいて対処につなげる事でしたが、当時のチェックリストは項目が480問くらいあって、社員からは回答する事がストレスだと言われたりもしました。(苦笑)このような紆余曲折を経ながらも、組織診断結果を活用した職場環境改善の取組みを行って来た歴史があります。
2014年には経産省による「健康経営銘柄」の選定が始まり、会社の創造性向上のため、会社が社員の健康管理を経営的視点で捉えて、戦略的に社員の健康の維持増進に取り組む、という考え方が徐々に世の中に浸透してきました。2015年~2016年には、様々な会社で健康経営宣言が発信されはじめ、オムロンでも(企業理念で掲げる、よりよい社会を実現するには、オムロンで働く社員が健康でなければならない。という思いから)「健康宣言を発信しよう!」という機運が盛り上がり、今回の社長からの宣言にいたりました。
オムロンでは、「健康経営銘柄に選定される」事が第一の目的ではなく、まず「社員の健康管理やサポートを充実させることで、社員が自身の健康をより意識し、行動変容が起きる事。そして、社員がより健康になり、活き活きと集中力高く仕事にも私生活での趣味などにも取り組んでいる状態を作る事です。その結果として銘柄に選定されるのであれば、有難い」と考えています。

―なるほど。でも、なかなか社長がやる気になってくれない会社もあるのでは?

実は我々も、社長が社員の健康に対してこんなに深い思いを持っていた事を知りませんでした。実際に健康経営の取組について社長に直接話した際「健康は何よりも優先されるものだ」と非常に思いを込めて話していました。
働き方改革が叫ばれる中で、健康管理を進める私たちにもやっと追い風が吹いたなと感じています。

―今回の健康経営宣言の狙いは何でしょう。

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社員に対して、”会社は本気で社員の健康を考えている”ということを伝えたいと思っています。それによって、社員が自身の健康への意識を高めてくれて、結果的に集中力が高まり創造性の向上がかなう。また、経営陣には、健康経営宣言を発信し、健康経営を始動した事をきっかけとして、各取組の投資対効果や新たな課題を伝えていくことで、より健康投資の重要性を意識してもらえるようにしていきたいと思っています。
健康経営・ワークスタイル革新・ワークプレイス革新の3本柱を進める中で、3つの相乗効果で社員の健康づくりを加速していきたいと思っています。

―これまでの健康増進施策での課題はどんな点だったのでしょうか。

はい、主な課題は次の2点でした。

① 全社統一の施策がなく各事業所に任せていたため、全体の改善点や成果が見えづらかった

以前は各地の事業所がそれぞれで目標を設定して実施していたため、効果が見えづらかったです。例えばA事業所では運動に特化していて、運動項目は改善しても、B事業社では禁煙活動を目標と設定しているケースなどです。全社統一で(目標を設定し取り組みを)ドーンとやらないと、目に見える改善は難しいと感じています。

② 成果や効果の振り返りができておらず、課題と打ち手に繋がっていなかった

先ほどの全社統一施策がなかったこととも関連しますが、まずやることが大事、という流れの中で、最初に目標を置いていなかったので、例えばメンタルヘルス対策を実施しても、結局休職者が減っていなかったとか、メンタル不調にかかる人が減っていないなど、劇的な成果があまり出せませんでした。また、振り返りがなかったことで、途中の軌道修正もあまりできませんでした。どこが課題で、打ち手をどうするか、というのを分析することが大事。やはり、健康経営においてもPDCAを回すことが重要であると気づきました。

ただ前提として、オムロン社員の健康状態を平均値でみると、世間と比較したときにそんなに悪い点がなく良好だったため、劇的な効果が出なかったということもあると思います。

新しい健康経営の指標と取組内容

「睡眠・運動・食事・メンタルヘルス・禁煙」という、5つの指標で成果を「ハカル」

―今回の健康経営について教えてください。

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今回の施策は、全社で取組むことができ、効果が出やすいものを意識して企画しました。産業医の先生と色々相談して、やはり指標が必要だよね、ということになりました。
振り返るときに、効果が見えやすく、成果として会社にも社員一人ひとりにもわかりやすいものがいいと考えました。その中で「ライフスタイルに関するもの」というアイディアが出てきました。また、会社としてやるからには、個人がただ健康になればいいだけではない。「集中力を高めること」で、生産性を向上し、元気な人が更にパフォーマンスをあげられるようになるにはどうしたらいいのか、と考えて、結果「運動・睡眠・メンタルヘルス・食事・禁煙」という、5つの指標に決まりました。

詳しくはオムロンの健康経営宣言ページ「ハカルコトカラダ」へ

オムロンの健康経営宣言ページ「ハカルコトカラダ」
オムロンの健康経営宣言ページ「ハカルコトカラダ」

この5つのトピックの中で、全社でイベント的にやるもの・各事業所の環境にあわせてやるものに分けて今後展開していく予定です。

【全社で取り組む期間限定イベント型】
全社で一気に同じ目標に向かって取り組むため効果が見えやすく、コミュニケーションの活性化にもつながります。

【取組内容】
まず開始したのは、睡眠状態を改善するためのプログラムです。現在、以下のようなイベントを実施しています。
・参加者は保健師によるセミナーの受講により、睡眠基礎知識を学ぶ。
・ドコモ・ヘルスケアのウェアラブル活動量計「ムーヴバンド3」を希望者(睡眠に興味や課題を持っている社員)に配布して、日々の睡眠状態を記録し、専用のアプリWM(わたしムーヴ)で見える化。知識と合わせて改善に取り組む。
・より睡眠に関心を持って睡眠の改善・向上に取り組む社員を増やすために、睡眠に関するプチ知識をエレベーターなどに掲示。

【自然と健康行動に結び付く施策・環境型】
事業所ごとに環境が異なるため、全社で同じ環境を整えることは難しいですが、出来るだけ日常の生活に組み込む事によって、社員が意識せず健康行動を取ることができます。各事業所にあった取組を進められたら良いと考えています。

【取組内容例】
・事業所の食堂の提供メニューを、栄養バランスがとれた内容や、低糖質なメニューに変更するなど。

【そのほかの工夫】

事業所ごとに、トイレ・エレベーターなどに健康プチ情報を書いた紙を貼っています。データを各事業所に共有して、各事業所で印刷して2週間に一度張り替えてもらっています。

実はこれ、弊社の執行役員の案なんです。何もせずぼーっと待ってる場所だと、手持ち無沙汰なので絶対見るだろうと。そうゆうところで見た情報は周りの人にも話したくなるらしいです。なるほどということで、早速取り入れてみました。

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取組の効果やメリット

社員からの高い関心・コミュニケーション活性化につながっている

―まだ取組を開始したばかりですが、すでに感じている効果などはありますか。

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社内で行うセミナーは、通常申し込んでも当日キャンセルする人が一定の割合でいますが、今回の睡眠教育セミナーは、申込者の参加率が事業所によっては、ほぼ100%と非常に高い率でした。また睡眠教育内容に対するアンケート結果が「非常に満足」などの好意的なものも多く、例えば、「睡眠の秘訣がわかってよかった」といった反響も多かったです。
ムーヴバンド3はつけていると目印みたいになっていて、同じ部門の人同士で睡眠状態を比較しあったりして、コミュニケーション活性化にもつながっているようです。
何かが悪い人を集めてやるのではなく、集中力を高めるための取り組みだから、みんなが参加しやすく、好印象のようです。


また、まずとっかかりが睡眠なのはよかったです。睡眠の状態って、一人ひとり異なるので、自分の睡眠状態をムーヴバンド3で分析して、セミナーのアドバイスなどを自分自身にあてはめて見ることができる点は非常に興味が高いようです。
色々探してムーヴバンド3に出会えてよかったです。(笑)

職場の保健師の役割への理解も重要。会社の意識を変えるには?

オムロンでは、全社員対象として保健指導を実施する計画を立てています。
一般的には社員1000人程度で常勤の保健師を一人置いている企業が多いですが、オムロンでは、300人に一人保健師を置いています。これは、とても多いと思います。産業医の先生は月に1回しか来られない事業所も多いですし、職場の上司等との接点が持ちにくい場合も多いので、保健師がこの部分をカバーできると考えています。
そんな保健師の活動の一場面として、以前、保健師が「職場に毎日行きます」といったら、止められた経験があります。理由を聞いたら、目立つから。病気の人がいると思われて、職場がざわつくのが嫌だと。なるほど思って、最近では保健師は白衣などは着用せず、私服でオフィスを回るなど工夫しています。
保健師は病気の方だけでなく、健康な人がもっと健康になるために相談できる相手であると、社員の保健師に対する理解や意識も深めたいと思っています。
全員面談というのも健康経営の施策として発信することによって、保健師からもやりやすくなったという声も届いています。

苦労した点

―ここまでの施策を実施するにあたって、苦労した点を教えてください。

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どんな施策で効果がでるのか試行錯誤

まず、どんな施策をやるのか、そしてどうやって進めようかという部分でとても悩みました。上層部から宣言を出そうという話があってから、約3カ月後にできるものでないといけないこと、ただ健康だけではなく、「オムロンユニーク(オムロングループ内事業や商品を活用した健康増進活動)」な取組を考えること、また労働衛生活動をしてきた以前と何が変わったのかを示す必要がありました。

また企画立案については、実質私たち二人で動いていたため、とにかく二人で他社の健康経営の事例や、オムロン内に何か企画立案にヒントとなる健康事例がないかを聞きに行ったりしました。どの施策で効果がでるかはわからないので、とにかく試行錯誤しました。

他部門との調整

今回の施策を実施するにあたってこれまで関わったことのない部署とのやりとりが色々発生して、しっかり関係を構築するまでは大変でした(笑)。でも、この人間関係の構築ができたことは、今回の収穫でもあります。

事業部ごとの総務担当・保健師からの協力

これまでの労働安全衛生の概念と、今回の健康経営の概念がうまく結び付けられない人が多かったのも大変でしたね。健康で安全に働ける環境があればそれでいいのではないかといった意見がありました。社員みな非常に忙しいので、事業所の総務も最初はあまりノリ気ではありませんでした。
仕事を増やしにきたって警戒されちゃうんですよね。(笑)

―なるほど、たしかに大変そうです。どのように皆さんの意識を変えて、協力を得られたのですか?

全事業所の担当者に本社に集まってもらって説明会を実施し、健康経営の意味を何度も丁寧に説明しつつ、最終的には、会社方針としてやることを全面に出して、とにかくグループ全社でやってみよう、という流れを作って動いています。健康経営宣言は、社長から全社員に向けてメール発信してもらいましたので、とても効果がありました。現在は、まずはやってみよう、という雰囲気になっています。

健康経営をこれから始める会社へのアドバイス

健康経営を始めるときにまずやることは現状把握!

―これから健康経営を始める企業が、まずやった方がいいことはなんでしょうか。

まずは現状把握ですね。たとえば生活習慣アンケートなどを実施することで、自社ではどこにどのような課題があり、どこにお金をかけたいか。といったことが明確になります。
オムロンでも、ストレスチェック項目に追加項目を入れて、これから実施する5つのトピックの状態がどのように変わっていくのかを見ていく予定です。
たとえば、体調が悪くて休みがちな社員が多かったり、社員が倒れたりすると会社も困る。会社のリスクにつながるということであれば、投資につなげやすいです。
ポイントとしては、その施策で会社がどう変わるのか。課題になっているポイントが改善できることを保証することで、経営判断の後押しになると思います。

今後の取組

―今後の計画について教えてください。

今後は、毎年5つのトピックを数か月ごとにテーマとして回していき、様々な施策を実施していく予定です。また、「ライフスタイル」の中でしっかりと健康管理をしてもらうためには、社員自身がセルフケアできるための社員への教育がとても大切だと考えています。

社員自身が5つ全ての項目について、例えば食事の内容を変えたり、睡眠をコントロールしたりなど、普段の生活でセルフケアができる状態を目指すこと、またそれに伴い会社としても様々な施策を講じていくという、両輪でがんばらないといけないと思っています。

また、健康は個人個人によって効くものが異なるので、いろんな人に効くものがだんだん広がっていけばいいと思います。すべての人に効くものはないので、イベント・物がもらえる・豆知識など、多様な切り口を作ってあげると、どんな社員でもいずれかはどれかにヒットするのではないかと思っています。

目指すのは、「成果の出る」健康経営。社員の健康意識をどれだけ高められるかが勝負

―オムロンが目指している状態を教えてください。

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以下の状態を目指しています。
・会社の状態
オリンピックイヤーの2020年に、健康経営が関係会社の各社、そして全社員に浸透し、あたりまえになること。
・社員の状態
全社員が健康経営宣言の5項目をなるべく多く達成できている状態。
5つのうち、3つの指標を達成している人の割合を50%から80%に高める。

今回の取組では、労働衛生の域を超えたいです。
これまでとは明らかに変わった感を出したい。それは、健康経営の活動がベースとなり、社員がこの会社に入ってよかったと感じており、活き活きとチャレンジし、笑顔が多くて、見るからに仕事も私生活も楽しんでいる。そんな環境をつくりたいです。

成果を出さないといけないと思っています。
これまでは健康増進施策を「やる」ことが重要でしたが、今回は「成果を出す」にこだわりたいです。「健康経営」ということで、やはり会社が社員の健康に「投資」しているんですよね。
どうやったら成果がでるんだろうと考えたとき、やっぱり特別なイベントや単発ものもやるのですが、それだけだと成果はでないと思っています。本当に「変える」には、社員一人ひとりの日常生活の中に健康意識を「組み込む」ことも重要だと思っています。

以前から健康管理の取組をしてきたオムロンが目指す、「成果を出す」健康経営。ただ施策をやるだけでは、せっかく投資をしてくれた会社に対する効果がみえなくなる可能性も。健康経営も他のプロジェクトと同様に、課題の明確化とそれに対する打ち手の実施、そして振り返りと次の取組につなげていくことが重要のようです。また、投資という意味では、病気の人を健康にするだけでなく、健康な人を更に良い状態にもっていき、生産性や集中力を高めることで業績アップなどを狙っていく、といったアプローチも重要です。
お二人とも、ありがとうございました。

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