働き方改革

2018/03/28

なぜ働き方改革が必要?企業におけるメリットとデメリット

「働き方改革」は法律の改正を伴う政府主導の施策であり、企業としては避けて通れない改革です。この記事では、働き方改革が打ち出された背景や、企業におけるメリット・デメリットや課題、働き方改革に活用できる制度や導入・実施のための方法をご提案します。

「働き方改革」は法律の改正を伴う政府主導の施策であり、企業としては避けて通れない改革です。 この記事では、働き方改革が打ち出された背景や、企業におけるメリット・デメリットや課題、働き方改革に活用できる制度や導入・実施のための方法をご提案します

働き方改革とは?

「働き方改革」は、2016年に安倍晋三内閣が掲げた「一億総活躍社会」を実現するための最大のチャレンジと位置づけられた政府主導の取り組みです。一億総活躍社会とは、少子高齢化が進んだ将来においても、あらゆる立場の国民が、職場で、地域で、家庭環境でそれぞれの能力を発揮して活躍でき、生きがいを感じることができる社会のことです。

働き方改革は政府の主導で進められるため、各企業においても、働き方改革に向けて国が整備した法制度やガイドラインに沿って対策を進めていくことが必要となります。

働き方改革の背景と目的

背景

政府が一億総活躍社会を目標に掲げた背景には、予想を上回るペースで進む労働力人口の減少があります。深刻な労働力不足は国全体の生産力低下につながり、日本の将来に向けての大きな不安材料となっています。
そのため、労働人口減少の解消や、減少した労働力を補うための有効な対策に一刻も早く取り組むことが必要となってきたのです。

目的

現在、そして将来の労働力不足問題を解消するためには、出生率の上昇、労働者数の増加、生産性の向上などのための対策が求められます。
働き方改革では、これらにつながる対策として、労働時間に対する制度や意識の改善、労働環境の改善・整備、非正規雇用者の処遇改善などの実現を目指しています。

働き方改革の政府の取り組みと関連法案

働き方改革を実現するために進められている政府の取り組みや法整備をご紹介します。

働き方改革実現会議の設置

働き方改革の実現を目的として平成28年に設置された「働き方改革実現会議」では、安倍総理が議長となり、労働界・産業界のトップと有識者によって、働き方改革の実行計画の策定について10回にわたり審議されました。
同会議では9つの分野についての具体的な対策が策定され、「働き方改革実行計画」としてまとめられています。

働き方改革実現会議での策定内容

関連法案

この「働き方改革実行計画」に基づいて働き方改革を推進するための法整備案として、平成29年9月8日に厚生労働省から労働政策審議会に諮問された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」には、次のような内容が含まれています。

長時間労働の是正と多様な働き方に対応する労働基準法の改正
・時間外労働に対する上限規制や割増賃金率の適用
・有給休暇の取得推進
・フレックスタイム制、企画業務型裁量労働制の拡大
・特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の制定、など

また、労働安全衛生法の改正には産業医・産業保健機能の強化が示され、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正では、業務間にインターバル時間を設定するよう追加されるなど、労働者の健康確保に関する内容が含まれます。

同一労働同一賃金を目指し、雇用形態による不合理な待遇格差を解消するため、労働者派遣法、パートタイム労働法、労働契約法の改正の中には、公正な待遇確保のための規定の整備や待遇に関する説明義務などが盛り込まれています。

また、雇用対策法ではその名称を改めるとともに労働者の多様な事情に応じた雇用の安定と地位向上を図ることを目的と定め、国の施策を求めています。具体的には、女性や、家族の養育や介護に携わる人、母子家庭の母・父子家庭の父、寡婦、疾病等の治療を受ける人について、それぞれの事情に応じた雇用、再就職、就業の継続を促進するために必要な施策を講じることが示されています。

働き方改革のメリット・デメリット

では次に、これらの働き方改革が実行されることで得られるメリットと、想定されるデメリットを考えてみましょう。

メリット

長時間労働やサービス残業を余儀なくされている業界・企業の労働者にとっては、労働時間が削減され、有給休暇や休息時間を取りやすくなります。これにより、家庭生活やプライベートな時間に余裕が生まれ、身体だけでなくメンタル面の健康も増進することが期待されます。

また、労働の質や生産性の向上、うつ病などの発症や過労死のリスクが減ることにもつながるでしょう。非正規雇用や低賃金の労働者にとっても、待遇が改善されることでより安定的に働き続けられるようになることが期待されます。

結果的に、これらは企業側にとっても安定した労働者の確保や生産性の向上につながると考えられます。

デメリット

以上のような効果が期待される一方、同じ業務量・同じ人員で単純に労働時間の削減だけが実施されてしまった場合には、いろいろな歪みも生じてきます。

それまで残業時間で消化していた業務を通常の業務時間内に終わらせなければならなくなるため、社員一人ひとりの負担が増大することによる健康への悪影響や、業務の質が低下することで起こるインシデント(重大な事故につながる事案)のリスク発生の可能性が高まることも考えられます。

従業員にとっても、残業が削減されることによって収入が減少し、生活や仕事へのモチベーションに大きな影響を及ぼすケースは少なくないでしょう。業務改善をともなわず労働時間の削減だけを実行した場合、短期的には企業の生産性低下を招く可能性も大きいと考えられます。

労働時間の削減から企業の生産性向上につながるまでにはある程度の時間がかかるため、体力に余裕のない企業の場合、それまで待つことができず、会社の経営を維持するためにやむを得ずサービス残業や長時間労働に頼らざるを得ないというケースも出てくるでしょう。
こうしたケースに対応する法律が整備されると、経営者が罰則金を課せられたり、書類送検されたりするというリスクを負うことになります。

また長時間労働やサービス残業が恒常化していた業界全体も、社会的に評価を下げることになってしまうでしょう。その一方で、裁量労働制の拡大が長時間労働を助長するという意見もあり、労働時間の削減自体の実効性についても問題が指摘されています。

働き方改革をするための助成金の受け方

各都道府県の労働局を窓口として、働き方改革のための助成金制度が設けられています。
それぞれ対象となる取り組みや制度整備事業が設定されていますので、自社の事業形態に合った新制度の導入を考える際には、これらの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

中小企業の事業主を対象とした「職場意識改善助成金」には5つのコースが用意されており、次のような流れで助成金の支給を受けることができます。
労働時間等の設定の改善を通じた職場意識の改善について、それぞれのコースに成果目標と対象になる取り組みが設定されています。

①要件を満たした各企業は、対象の取り組みの中から1つ以上を選択して計画を作成し、事業実施計画書を添えて都道府県の労働局の窓口に承認を申請します。
②承認後は成果目標の達成を目指して、提出した計画に沿って取り組みを実施します。
③3か月の評価期間の実施後に助成金の支給を申請します。
④成果目標の達成状況に応じて、取り組みの実施に要した経費の一部が支給されます。

そのほかにも、たとえば東京都の場合には「TOKYO働き方改革宣言企業」制度を活用したサポートを行っています。
申請書類の各種様式および募集要項は公益財団法人東京しごと財団のホームページからダウンロードできます。

対象事業者

奨励金の制度(29年度はすでに受付終了)を利用しない場合は、

・「TOKYO働き方改革宣言企業」として宣言の承認を得ていること
・TOKYO働き方改革宣言企業の承認決定後3か月以内に、新たに奨励金の制度整備事業で対象とする制度整備を実施していること。

以上2点が条件となります(これ以外にも対象企業の要件あり)。

支給申請

申請方法

実施する制度の実施計画書を含む申請書類を郵送、または受付場所に来所して直接提出します。来所の場合は事前の予約が必要です。

申請期限

「TOKYO働き方改革宣言企業」の承認決定書の通知日から3か月以内です。

助成事業

申請可能な助成事業は5つの制度までですが、助成金の支給は1制度につき10万円で40万円が上限です。

申請回数

1企業につき1回限りです。取り組みが実施できず助成金が支給されなかった場合でも再申請はできません。

助成事業の実施

支給決定後、申請した計画期間内で助成事業を実施します。

実績報告

報告書類提出方法

所定の実施報告書類を以下の提出先に直接持参します。
公益財団法人東京しごと財団 雇用環境整備課 事業推進係
郵送および代理提出は不可ですので、事前に予約調整して来所してください。

実績報告期限

事業終了後(助成計画期間の最終日から)1か月以内(厳守)

働き方改革の企業における課題

企業の課題

実際に働き方改革に取り組むにあたって、企業においてはどのような課題が考えられるでしょうか。

働き方改革の実施には、多くの場合、企業内の制度改革を伴うことになります。
有効に実行するためには、経営層だけでなく、正規・非正規にかかわらず従業員全体が一致してその必要性や目的を理解し共感していなければ意味がありません。

会社と従業員側では、それぞれの成長のビジョンが異なるため、互いの利益が相互に利益をもたらすことを理解し、働き方改革への認識を一致させることが重要になります。
一方で、一億総活躍社会の構想の中で共に掲げられるワークライフバランスやダイバーシティ(多様性)の推進が従業員個人の働き方改革にどう影響してメリットをもたらすかということも見極めながら、それぞれの施策を検討する必要があります。

また、企業では働き方改革への取り組みを中枢となって推進するための人材が必要となってきますが、現実には、この問題に対応できる人材が不足しているということも大きな課題です。
特に中小企業においては、大企業に比べて制度整備や人材に十分な投資ができず、具体的な取り組みを実施できないまま問題を放置してしまうケースも多く、働き方改革を実行に移すのが困難であるという状況があります。

働き方改革に対応する方法

働き方改革に取り組むうえでの課題を踏まえながら、実際に社内で働き方改革を実施するための具体的な方法を4つの視点から考えます。

働き方改革の浸透方法

働き方改革を意識の側面から社内全体へ浸透させるために次のような改善が考えられます。

・長時間労働が美徳とされるような企業風土がある場合は、会社の指針としてこれを改めるようにします。
・全体のミーティングを通じて、目標達成に至るまでの方向性を全社員に説明します。
・個々の従業員に合わせた目標を設定し、面談等で会社側とすり合わせを行い、目標を共有します。
・それぞれの働き方改善に向けて取り組む担当者を決め、部署を設置します。
・リーダーや経営陣が自ら率先して意識改革を行うことを通じて、働き方改革の意識を社内共通の文化として従業員へ浸透させます。

非正規社員から正規社員へのキャリア・アップ

入社しても非正規雇用のままの労働が続くと、従業員は将来に不安を感じ、退職へと向かう傾向が高まってしまいます。入社後一定の期間を経たのち、あるいは業務で一定の成果を達成した段階で正社員へとキャリア・アップできる道を用意しましょう。
正社員への道が開けることで業務へのモチベーションも上がり、生産性の高い社員の継続雇用に繋げることができます。

業務効率改善のための社内フロー、制度の改善

課題にもあるように、大企業に比べて中小企業では具体的な取り組みが進んでいない、あるいは改革の意識が浸透し難いという状況があります。
まずは適当なツールを導入して業務効率を上げ、社内フローの制度の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。使い勝手のよいITツールを用いることで、導入コストを削減できますし、使いやすいものであれば社内にも早くから浸透するため、費用対効果の高い改善を実施することが可能となります。

健康経営に関する制度改革やツールの導入

従業員の健康促進に関連する社内制度を改善したり、従業員の健康管理のためのツールを導入して利用してみましょう。
従業員の健康状況を会社で把握・管理することで、問題の早期発見や労働環境整備の推進につなげることができ、従業員のモチベーションの向上に貢献することができます。

困ったときにはプロに助言を依頼してみる

働き方改革の計画や運用にあたり、社内の人材だけでは行き詰ったり悩んだりすることもあるでしょう。
そんなときには、外部のプロフェッショナルの力を借りるのも有効な方法です。

健康管理について健康管理センターや産業医に相談

企業の健康経営に関しては、健康診断の実施や健康相談、復職支援制度の策定と活用にいたるまで、さまざまな課題があります。
しかし、これらの課題に対して、専門知識のない社員だけでは企業としてどのように向き合えばよいのか実際にはわかりませんし、適切な対応は期待できないでしょう。

このような場合には、健康管理センターや産業医との連携を活用して健康管理についての適切なアドバイスを得たり、復職後の働き方を設定したりしましょう。
これら専門家の協力は会社側の力になるとともに、従業員にとっても適切な対応が得られるため、企業と従業員双方のニーズを満たすために必要なものといえます。

健康経営ツールの担当者に連絡してみる

会社で社員の健康管理を行うというと、管理される側には「監視される」「縛られる」というネガティブなイメージも生じがちです。
「管理される」のではなく、社員自らが率先して毎日の健康管理に楽しく取り組めるようにするにはどうしたらいいのか?など、サポートしてくれるプロフェッショナルに相談してみるのもよい方法です。

専用ツールの提案も含め、健康経営で大企業から中小企業まで数々の実績のあるドコモにご相談ください。
https://www.d-healthcare.co.jp/

働き方改革は法律の改正を伴う政府主導の施策であり、企業としては避けて通れない改革であることがわかりました。

働き方改革の目指す長期の目標は、企業にとっても安定雇用の確保や生産性向上などのメリットをもたらすと考えられますが、一方で、労働時間の短縮によるデメリットが企業経営や生産性の低下に直結しないように、同時に業務改善による効率化などの方策も必要となります。

有効なツールやプロのアドバイスを最大限活用して、企業にメリットをもたらす働き方改革の実現を目指しましょう。

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編集部

ヘルスケア通信の編集部

健康経営などの人事・総務の方に役立つ情報を発信中

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