働き方改革

2017/12/28

ダイバーシティとは?企業の成長につながる多様な人材の活用法

「ダイバーシティ」とは、多様性を意味する言葉で、企業においては、多様な人材の就業機会を増やし、積極的に活用していこうとする考え方を指します。人材確保とつなぎ止めが急務の課題となっている国内企業の多くで、ダイバーシティ・マネジメントに関する取り組みが重視されています。

「ダイバーシティ」とは、多様性を意味する言葉で、企業においては、多様な人材の就業機会を増やし、積極的に活用していこうとする考え方を指します。
人材確保とつなぎ止めが急務の課題となっている国内企業の多くで、ダイバーシティ・マネジメントに関する取り組みが重視されています。

ここでは、ダイバーシティ・マネジメントのポイントや、先進的な取り組みを行っている企業の事例をご紹介します。

ダイバーシティが企業を強く成長させる

企業の経営戦略に必要な考え方の一つ、ダイバーシティはなぜ重視されるのでしょうか。言葉の意味や重視される理由についてお伝えします。

ダイバーシティとは

ダイバーシティは英語で「diversity」となり、「多様性」を表す言葉です。くだけた言い方をするなら「いろいろな人がいる」ということで、 多様な人材の就業機会を増やし、積極的に活用していこうとする考え方 を指します。

ダイバーシティは、もともとアメリカで広がった考え方です。1964年に公民権法が成立し、マイノリティ(少数派)の就業機会の拡大が図られた後、80年代以降になって現代のような多様性に価値を置く考え方が浸透していきました。

日本で重視されるようになったのは2000年以降のことで、はじめのうちは「女性の活用」という文脈でよく用いられていました。

多様性に含まれる属性とは

多様性に含まれる属性は性別だけではありません。年齢、人種や国籍、障害の有無、婚姻の有無、収入の違い、信仰・価値観の違いなど、さまざまな属性を持つ人々が共に働くのが、多様性のある職場です。

近年は、性的マイノリティであるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人々がカミングアウトしやすい環境を整え、能力を生かせる職場にすることも、企業の間で課題となっています。

ダイバーシティが重視される理由

労働力の確保

少子高齢化の進展に伴う労働人口の減少によって、労働力の確保が多くの企業にとって重要な課題となっています。新卒の一括採用や終身雇用といったこれまでの雇用システムの継続は難しく、企業戦略としても限界があります。そこで注目されたのが、多様な人材の活用をすすめるダイバーシティの考え方でした。

グローバル化への対応

グローバル化する社会の中で企業が生き残るためには、人的資産も国際化する必要があります。また、画一的な集団よりも多様な人材を集めたほうが、イノベーションを起こしやすいことも、ダイバーシティが重視される理由の一つです。
つまり、激しい競争にさらされているからこそ、企業を強くする経営戦略として多様な人材が求められているというわけです。

企業の成長力を強化

ダイバーシティは、本来「diversity & inclusion(ダイバーシティ&インクルージョン)」が正式な名称で、「inclusion」の意味が含まれます。「inclusion」自体は「含有」「包括」という意味で、「多様性の受容」などと訳されます。

外見や内面の違いにかかわらず、すべての人を受け入れ、各々の個性や能力を生かせる組織にすることで、企業の成長力強化につながると期待されています。

ダイバーシティ・マネジメントとは

労働力不足が進む中、多様な働き方を用意することは優秀な人材の確保につながります。また、企業の中に多様な視点を取り入れることで、新たな商品、サービスの開発に貢献するでしょう。

ダイバーシティ・マネジメントに必要なこと

ダイバーシティ・マネジメントとは、多様な人材を積極的に活用し、経営基盤を強化することです。多様性を受け入れる環境を整えるほか、採用した人材が活躍できるよう、一人一人のニーズに合った多様な働き方の選択肢を用意する必要があります。例えば、長時間労働を抑制し、勤務時間や正規、非正規の雇用形態に流動性を持たせるなどして、多様な人材が活躍できる組織にすることが求められます。

また、社員一人の人生においても、出産や育児、病気、介護など、状況の変化が起こります。そうした変化に即した働き方が可能になれば、社員の経験やスキル、異なる視点などを継続して生かすことができ、人材の損失を防いで発展へつなげられるでしょう。

ダイバーシティ・マネジメントで得られる効果

優秀な労働力が確保できる

ダイバーシティ・マネジメントで得られる効果としては、まず優秀な労働力の確保が挙げられます。採用する人材の枠を取り払うことで、候補者の範囲が拡大されるからです。

アイディアが多様化する

次に、新たな商品やサービスの開発に役立つというメリットがあります。多様性を受け入れると、画一的な集団では得られない視点から、アイデアを得られるようになります。

例えば、女性をターゲットにした商品を開発するには、女性の視点が必要です。海外に進出するには、その国の文化やビジネスに通じた人材が求められるでしょう。グローバル化が進み、多様化した市場に対応するには、企業も多様化することが重要です。

自らの望む形で働き、能力を発揮できる環境が得られれば、社員の働きがいも向上し、さらなる好循環が生み出されるでしょう。

ダイバーシティ・マネジメントの失敗しやすい理由

ダイバーシティ・マネジメントでは、多様な人材をただ採用すれば良いというわけではありません。必要なプロセスを経て、体制を整えないと、失敗に終わってしまうでしょう。

例えば、これまでとは異色の人材を採用したものの、上司が指導の仕方がわからなかったり、ほかの社員が「扱いにくい」と感じたりするケースが挙げられます。

多様な人材を受け入れる仕組みや環境が整っていないと、チーム内で軋轢が生じ、かえってパフォーマンスが下がることも予想されます。
採用を計画するだけでなく、採用後の環境やフォローの仕方、育成方針などをしっかりと決めておくことが重要です。

ダイバーシティへの取り組み方のポイント

ダイバーシティに向けた取り組みを実践する際は、社員に「フェアではない」という不満が募らないように、環境整備や意識改革を進めることが大切です。

ダイバーシティ・マネジメントのポイント

ダイバーシティ・マネジメントを推進するにあたって、今後の事業戦略で必要なプロセスと組織体制などを確認しましょう。その上で組織に必要な人材像を割り出して採用し、育成へと進めていきます。

①公正な人事評価制度の用意
必要な人材を育成していくために重要なのが、公正な人事評価制度を用意することです。多様な人々が働くと、それぞれで異なる配慮や処遇が必要になるケースが出てきます。
公平な人事評価制度が整っていないと、社員はフェアな職場と感じられなくなり、不満が募っていきます。評価基準を明確にして情報を共有するほか、決定プロセスをオープンにするといった動きが必要です。

②強みを発揮できる部署へ配置
採用した人材は、強みを発揮できる部署に配置してこそ活躍します。それぞれの強みを見極めて、本人がどのような働き方を望むのかを踏まえて配置しましょう。

③教育・研修体制の充実
全社的に教育・研修体制を充実させ、価値観の異なる人を指導できるように管理職層のスキルアップや意識改革も図りましょう。無意識のうちに差別的な言動をしないようセミナーなどを設けて、事前に社員が知識を得る機会をつくることが大切です。

そして、多様な社員の方向性を合わせるために、指針となる企業理念・ビジョンを打ち出し、社員に徹底させることも求められます。

推進している企業の取り組み例

経済産業省では「新・ダイバーシティ経営企業100選」として、先進的な取り組みをしている企業を表彰しています。ここでは、「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれている企業の中から、取り組み事例を2つご紹介します。

エイベックス株式会社

愛知県にある自動車部品メーカーのエイベックス株式会社で行われたのは、終身雇用や年功序列をベースとした取り組みです。
「世界から仕事が集まる工場」を目指す同社では、多様な人材の採用を実施したものの、採用数とともに離職率も増加するという課題が発生していました。

そこで、技術力が高く経験豊富なベテラン社員を評価し、若手社員を育てる仕組みを導入。新入社員が10講座以上を学ぶ「共育デー」を実施し、先輩社員が交代で教え合ったり、10講座以上を学ぶ「共育デー」を実施したり、中古の汎用設備を75歳以上の社員と若手が一緒に分解・再構築したりといった教育の機会を設けています。

こうした取り組みの結果、同社では2012年度には15%ほどあった離職率が2016年度には5%ほどに下がっています。

富士ゼロックス株式会社

オフィスプリンター事業などで知られる富士ゼロックス株式会社では、外国籍の社員や障害のある社員といった多様な人材を採用しています。多様な発想を取り入れ、ペーパーに依存した既存のビジネスモデルから脱却するためです。

具体的な取り組みとしては、インターンシップとして海外の大学生を受け入れ、その後社員に登用するプログラムや、営業やシステムエンジニア職に女性社員を増やしたことなどが挙げられます。また、休職制度の整備などにより、社員がキャリアを築き続けられるような環境づくりにも取り組んでいます。

女性ならではの視点で顧客の課題を捉えて提案を行い、高い評価を受けるなど、多様な人材が働きやすい環境づくりのおかげで、ソリューション・サービスをメインとした事業構造に転換が進められています。

※参考:経済産業省「平成28年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」

ダイバーシティの推進で多様な能力の結集を

ダイバーシティ・マネジメントは、社員にとっても企業にとっても、メリットの大きな経営戦略です。多様な属性、価値観の人々を、それぞれの特性を活かせるよう適材適所に配置することで、新しい価値を創造し、企業の成長をもたらすでしょう。

労働力不足の問題が深刻化する中、採用する対象を大きく広げつつ、経験とスキルのある社員の離職を防ぐことは、どの企業にとっても優先すべき課題です。同時に、多様化する市場のニーズに対応した事業を展開していくためには、多様な視点を取り入れることが欠かせません。

ダイバーシティを実現するには、従来の制度の見直し、新たな制度の整備、社員の意識改革など長い道のりを歩む必要があります。自社の競争力を高める重要な経営戦略と位置づけ、本格的な取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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編集部

ヘルスケア通信の編集部

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