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全社員がさらに活力アップ!「しあわせ」を生み出す健康経営

商業施設「マルイ」や、クレジットカード「エポスカード」などを全国展開する株式会社丸井グループ。「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」との経営理念のもと、社員の主体性を活かした独自の健康経営が外部から高く評価され、その成果に注目が集まっています。

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商業施設「マルイ」や、クレジットカード「エポスカード」などを全国展開する株式会社丸井グループ。「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」との経営理念のもと、社員の主体性を活かした独自の健康経営が外部から高く評価され、その成果に注目が集まっています。

丸井グループでは、経済産業省や東京証券取引所による健康経営銘柄への2年連続選定や、健康配慮への取り組みが優れた企業を評価する日本政策投資銀行の「DBI健康経営格付」で最高ランクを取得するなど、社員の主体性を存分に活かした独自の健康経営が実績を上げています。専属産業医の小島玲子さん(健康推進部部長)と新倉智宏さん(同部健康推進担当課長)に、丸井グループが健康経営に込める思いと、取り組みの成功の秘訣をうかがいました。

 

健康経営を企業戦略の一環として打ち出す

丸井グループ 健康推進部 小島玲子さん

丸井グループは1931年の創業以来、時代や顧客のニーズの変化に合わせて、小売・金融一体の独自のビジネスモデルを革新・進化させてきました。

2005年には3代目となる青井浩社長が就任し、持続可能な経営を目指して、企業文化をトップダウンから、社員の主体性を尊重するボトムアップ型へと大きく方向転換。「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念のもと、約5500人の社員が一丸となって、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に創ることを会社のミッションとしています。

「一般に健康経営というと病気予防や不調改善という枠組みで考えがちですが、私たちが目指しているのは、病気にならないことだけでなく、健康な人も含め社員一人ひとりが今よりもイキイキと活力の高い状態をめざし、『しあわせ』になること。その積み重ねが企業の活力をも向上させ、お客さまのお役に立つことにつながると考えています」(小島さん)

そのため、丸井グループの健康経営は経営戦略の一つとして打ち出されているのが特徴です。16年には社内の最高法規である労働協約に「健康推進」の章を新たに追加し、健康経営について会社と社員の責務を明示しました。

そして、こうした活動の一翼を担っているのが小島さん率いる健康推進部です。11年に小島さんが専属産業医として着任し、14年に保健師との2人体制による健康推進部が設置されました。その後、16年からは全社的に健康経営に取り組むことになったのを機にメンバーが増員に。現在は産業医2名、保健師1名、一般社員3名の6名体制となっています。

「私が着任したのは健康経営という言葉が社会で一般的になる前のことでしたが、丸井グループが企業のあり方や働き方を変換させていく流れの中で、健康推進部の役割も大きくなっていきました。今は病気予防・改善をサポートする丸井健康保険組合の『ディフェンス活動』(守り)と、社員と組織の活力向上を目指す健康推進部の『オフェンス活動』(攻め)を連携して健康経営を進めています」(小島さん)

社員が自ら考え行動する、仕組みづくり

丸井グループ 健康推進部 新倉智宏さん

制度として健康づくりの環境整備を進める一方、力を入れてきたのが、社員が自ら考え、自ら行動する仕組みづくりです。

社員の主体性を尊重するため、「自ら手を挙げる」公募制によるグループ横断型のプロジェクトを導入しました。メンバーは毎年、応募理由や実現したいことなどを書いたレポートをもとに選抜するのが特徴です。

その中の一つで、16年に立ち上げた「健康経営推進プロジェクト」では月に1回、プロジェクトメンバーが本社に集まり「丸井グループが目指す健康は何か?」について話し合う機会を設けています。このプロジェクト立ち上げ時には50人の定員に対し5倍以上の応募がありました。

同メンバーは本社での話し合いで得たアイデアや知識を職場にもち返り、各事業所のメンバーと共に現場レベルで健康づくり活動を推進しています。

例えば、ある店舗では毎月22日の禁煙の日(スワン、スワン=吸わん、吸わん)に「禁煙活動の裏側大公開」と題して、他の職場も含めて禁煙推進状況を社員自身が調べて発表。別の店舗ではショップ対抗ウォークラリーを開催しメンバーの平均歩数が7000歩を超えるごとに、用意された写真パネルを1枚ずつめくっていって、どんな写真が現れるかをゲーム形式で競って楽しむなど、社員のやりたいという思いを形にしたユニークな取り組みが次々と生まれました。

「社員が企画する活動には、産業医や保健師が考える、よくありがちな健康講座にはないような面白いアイデアがたくさんあり、実に個性的。これだったらみんなが楽しんで参加できるという、社員自身の目線で考えられているのがとてもよいところだと感じています」(小島さん)

健康経営推進プロジェクトの活性化は新たな好循環も生み出しています。
女性特有の健康課題に対応するため、相談窓口として女性社員を「ウェルネスリーダー」に任命する制度がありましたが、各事業所に1名ということもあり、活動が広がりにくいことが課題でした。
ところが、健康経営推進プロジェクトを通して職場全体の連携が深まったことで、ウェルネスリーダーの活動も活発に。プロジェクトメンバーと協力し合うことで、女性が働きやすい職場づくりの推進にもつながっています。

「人と接することが好きな人が多いという業種の特性や、もともと社内イベントが活発だったことなどが、プロジェクトが盛り上がる下地になったのではないでしょうか。社員の主体性を活かした健康経営が企業文化にうまくマッチしたことで、推進役を中心にどんどん広がり、うまく回っていったのだと思います」(新倉さん)

トップ層の意識改革で社員の活動を後押し

丸井グループ 健康推進部 小島玲子さんと新倉智宏さん

社員がイキイキと活力高く活動するには、それを支援するマネジメントも必要です。
部長職などトップ層を対象にした「レジリエンスプログラム」では、1年間にわたって合宿や研修を通して、身体(食事・運動・睡眠)、情動、思考、精神の4つの活力を高める習慣形成を促進。参加者の中には生活習慣の改善で減量に成功したり、マラソンやヨガといった運動を始めたりする人も増えました。トップ層が自らアクションを起こすことで、健康経営に取り組む職場の雰囲気づくりにもよい影響を与えているそうです。

健康経営の取り組みが奏功してか、働き方改革でも17年度の1人当たりの年間平均残業時間は42時間と、07年度と比べて88時間の削減に。
他にもヘルスリテラシーを高めるために「日本健康マスター検定」を受検する社員が増え、強制ではなく自由意思による受験にもかかわらず、すでに約800人以上が合格。職場で健康講座の講師を担うなど、様々な活動が盛り上がりを見せています。

全社員による健康経営によってやはり一番大きいのは社員の意識の変化ですね。健康診断の良し悪しだけでなく、健康への取り組みを意識することで生活習慣の改善はもちろん、自分の行動に自信がもてる自己効力感も大きく向上する結果が出ています」(新倉さん)

市場で高まる評価 企業の魅力向上にも

丸井グループ 健康推進部 新倉智宏さん

こうした丸井グループの取り組みは外部からも高く評価され、16年に日本政策投資銀行による「DBI健康経営格付」で最高ランクを取得17年から3年連続で経済産業省「健康経営優良法人〜ホワイト500〜」に、18年、19年は同省と東京証券取引所による「健康経営銘柄」に選定されました。また、市場などからの高い評価につながっているそうです。

「取引先の企業や投資家など外部の方々から成果を認めていただけるのは非常にうれしいこと。私たち社員のやりがいにもつながります。また新入社員の中には健康経営をやりたくて丸井に入ったという人もいました」(新倉さん)

「健康経営推進プロジェクト」は始まって3年目となる18年に、「ウェルネス経営推進プロジェクト」へと名称が変わりました。健康のとらえ方をさらに広げ、社会のしあわせや、輝く豊かな人生を目指すという意味を込めています。
「これまでの健康経営の取り組みを深めていくことはもちろんですが、今後はもっと広い視点に立ち、社員、お客さま、そして地域や社会へとしあわせの輪を広げられるような活動を目指したいですね」(新倉さん)

成功の秘訣は、「健康と企業ミッションを切り離さないこと」

丸井グループ 健康推進部 小島玲子さん

全国的に企業の働き方改革が進む中、健康経営は大きな柱として重視されています。とはいえ、中にはどのように取り組めばよいか模索を続ける企業も少なくありません。

健康経営を成功に導く秘訣について、小島さんは「これまで他社を含めて17年間の産業医経験から私が思うのは、健康のための健康経営は進まないということです。健康に関するプロジェクトだけを突然やりますと言っても、会社本来のミッションや取り組みから切り離した方法は大きなうねりにはならない気がします」と指摘。
「それよりは、企業文化や社員の特性、企業がもつビジョンなどをしっかり観察して、その企業の強みにマッチしたやり方を検討するのが最も重要だと感じています」とアドバイスしてくださいました。

まとめ

トップダウンからボトムアップ型経営へと方向転換を進めきた丸井グループ。10年以上かけて形成された新しい企業文化を背景に、丸井グループらしいオリジナルの健康経営が生まれたといえます。社員の主体性を尊重し、引き出すことが大きな原動力となるよい事例といえるでしょう。