インタビュー・導入事例

2018/10/19

【専門家が教える】睡眠で仕事の効率を上げる!昨日より賢くなれる3つの法則 セルフチェックつき

やる気がフツフツと沸き上がる法則が睡眠にあります。今回は作業療法士で話題のベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』著者でもある菅原洋平先生に、脳科学の法則による睡眠で仕事の効率を上げるコツを伺いました。

「睡眠は休むためのもの」だと思っていませんか?
だから、忙しければ忙しいほど「休んでいる暇などない!」と考え、体にムチを打ってでも睡眠時間を削って頑張っているのでは…。
実はコレ、大きな誤解なんです。

今回は作業療法士で話題のベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』著者でもある菅原洋平先生に、脳科学の法則による睡眠で仕事の効率を上げるコツを伺いました。

なぜ、睡眠が企業に注目されているのか

―やる気がフツフツと沸き上がる法則が睡眠にある―
しかも、特別なタスクが増えるわけでもなく、お金も時間もかからず、昨日よりパフォーマンスがあがる!
そんなウマイ話があるんです!

方法は、脳科学に基づく「睡眠の法則」を知り、まず自分に合うものを1つ取り入れるだけ。

睡眠の法則は、私たち人間の体にもともと備わっている“3つの体のリズム”から成っています
まずは、自分の体はそんなリズムをもっているんだ!脳科学に則って行動すると自分の体はこんなに変わるんだ!と面白がってもらいたい」

この睡眠と生産性のメカニズムは、近年企業も注目しています
企業で睡眠を研修に取り入れることが増えてきたのは、2015年に厚生労働省がストレスチェック実施の義務化を定めた頃から。
最近は、“健康経営”というキーワードで菅原先生に相談に来られ、従業員のパフォーマンスアップのために睡眠研修を行う企業も多くなっているそうです。

睡眠研修導入事例 生産性評価がアップ!眠気尺度も改善!

NTTデータシステム技術株式会社では、病気対策ではなく、前向きに仕事に取り組めるようにという目的で菅原先生が睡眠研修を担当。

脳科学に基づく睡眠のロジカルなメカニズムは、エンジニアに大好評で、「睡眠には技術があるのだと驚いた」という感嘆の声をはじめ、「これまで行ってきた研修の中でもとても反応がよい」と研修担当者が驚くほどだったと言います。

実際、研修前後に行った生産性の自己評価では、「判断・集中能力」「身体能力」が有意にアップ、眠気尺度も改善したことが分かりました。

出典:週刊ダイヤモンド 2017年7月1日号

また、菅原先生が睡眠研修を行ったタクシー会社では、事故が起きやすい12~14時に目を閉じるよう指導したところ、研修4カ月後に事故の件数が約半分になったという報告もあります。

睡眠はあくまでも目的ではなく手段。
ビジネスマンであれば、睡眠の目的は健康管理ももちろんですが、仕事を充実させるためのもの。
「脳科学に基づいた「睡眠の法則」を知っているかどうか、それを上手に使えるかどうかで、自分の成績が変わることが分かれば、自ら睡眠を変えていけるではないでしょうか」

「健康経営」や「働き方改革」の必要性が高まる中、生産性を上げるための有効なツールとして、企業での睡眠に関する取り組みは今後ますます進んでくるでしょう。

眠らないなんてモッタイナイ! ひらめきを生み出す睡眠のチカラ

では、菅原先生に睡眠とパフォーマンスの関係を詳しく教えていただきましょう!

まず、心身共にパフォーマンスがよい状態をつくるのに必要なのは、
“脳がしっかり目覚めていること”と“脳内の記憶が整理されていること”。

この2つの条件を満たすことができるのが睡眠です。

朝起きたら、昨日考えていたことがクリアになったり、新たなひらめきが生まれたりしたことはありませんか?
私たちの脳は、眠っている間に余分な情報を消去して空き容量を増やし、今解決したい問題と過去の既存の情報を結び付けるなどして、記憶を整理する作業を行っています。

このように、睡眠中にうまく情報処理ができると、昨日の経験は『使える記憶』に作り替えられます。
学力、記憶力、タイピングの速さ、スポーツのフォーム修正なども、眠らず学習し続けた人より、学習後に眠った人の方がその後の習得は早いことが分かっています
このように、睡眠が翌日のパフォーマンスを上げる役割をしていることは、睡眠業界ではスタンダードな認識です」

せっかくこんな便利な機能を持っているのに、「寝る間を惜しんで…」と、睡眠を削って何とかしようと思うのは、もったいない話。
また、眠っているつもりでも、“質がよくない睡眠”では、記憶を整理する神経回路の活動が見られず、常に頭がごちゃごちゃという状態に…。

眠りの充実は、「時間」ではなく「質」が大事

充実した睡眠に大切なのは、前半ぐっすり寝て後半すっきり目覚めるという「睡眠のリズム」をキレイに整えること。

「よく“何時間寝れば頭がさえる?”“何時に眠ればよい?”と質問されます。
6時間眠っている人が、隣の人が8時間眠っていると聞くと自分は眠れていないと不安になったり、8時間寝ようとして眠れないから不眠症だと思い込んだり…。
時間数を話題にすることで、誤解がたくさん生まれるのです」と菅原先生。

確かに、「何時間寝ている?」というような話題を巷でもよく耳にしますが、それはナンセンス。
「スッキリ目覚め、朝から好調に過ごせれば、質良く眠れていて、そのサイクルがその人にとっては“よい”ということになります。あくまでも時間は結果としてのもの」

では、ここで質のよい睡眠をとれているかチェックしてみましょう!

あなたの眠りの質をcheck!

起床4時間後に、以下の項目が当てはまりますか?(7時起床の人なら、11時頃の状態)

□ あくびが出る
□ 眠気がある
□ イマイチ、やる気が出ない

→私たちの脳は、起床から4時間後に脳が最も活発になるようにできています。
1つでも当てはまれば、睡眠不足、または眠っているつもりでも眠りの質がよくない状態といえます。脳の覚醒レベルが低下している証拠です。

できる人はやめている! 睡眠の質を下げる3つのNG

ついしてしまいがちな生活習慣の中にも、眠りの質を下げることがあります。
該当するものがあれば、まず1つ解消してみると、徐々に体が変わる実感があるでしょう。

ベッドで眠る以外のことをする

脳は、場所と行為をセットで記憶するという特徴が。ベッドの上で本を読んだり、考え事をしたりすると、ベッド=「本を読む」「考え事をする」場所と脳が反応し、寝つきが悪くなります。
脳に「ベッドに入る=眠る」と覚えさせて。
眠る前に本を読む習慣がある人は、ベッドのそばに椅子を置き、そこで本を読んでからベッドに入るなど工夫を。

休日の寝だめ

休日に平日の寝不足を補おうとして昼頃まで眠ると、体内時計のリズムが崩れて、週の頭はいわゆる「ブルーマンデー」の状態に。
翌週のパフォーンマンスが著しく下がってしまいます。
そうならないよう、多少寝坊したくてもいつもの起床時刻の3時間以内には目覚めて。

寝酒

眠るためにお酒を飲む人は約30%もいるのだとか。
飲み始めは眠れても、どんどん効果が薄れて飲酒量が増えることが分かっています。
飲まないと眠れないという状況をつくらないことが大事。
やむを得ず付き合いなどで飲酒する時は、水をたっぷり飲み、脱水で目覚めないように注意を。

眠りのコツは、日中の過ごし方がカギ!今日からできる朝昼夕の3つの方法

では、質の良い睡眠をとるためには?
菅原先生が臨床の現場で実践する、朝昼夕に行いたい「睡眠の法則」をご紹介します。

ポイントは、以下のように起床後「4時間(朝)、6時間(昼)、11時間(夕)」のちょっとした行動により、睡眠に関する3つの生体リズムを整えること。「4-6-11の法則」です。

朝 : 起床から4時間以内に光を見る
昼 : 起床から6時間後に眠くなくても目を閉じる
夕 : 起床から11時間後に姿勢をよくする。

朝の習慣

目覚めてすぐに窓際で光を見る
“メラトニンリズムを整える”

朝の眠気を覚ますには、眠気を誘発するメラトニンの分泌を減らす必要があります。
そのために大切なのは、朝起きたら光を浴びること。

より効果的にメラトニンを止め、目覚めをよくするポイントは3つ。

起床後なるべく早い段階で、光を見る。
家の中でも一番光が強い窓際(1m以内)に行く。
遅くとも起床後4時間以内に光を見る。
朝やっている習慣、例えばカーテンを開ける時に意識して光を見たり、窓際で新聞を読んだり、メールチェックをしたりするのもよいでしょう。
外出をしない日でも4時間以内に光を見ることを忘れずに。

人の体内時計は24時間より長いので朝の光を感知しないとそのまま時間を刻み、数十分から1時間程度(個人差がある)後ろにずれてリズムが狂ってしまいます。

なかなか起きられない人は、朝カーテンだけ開けて二度寝してしまってもOKです。
それを続けるだけでも光が脳に届く時間が早まり、翌日のスッキリ感が変わってくるでしょう。

昼の習慣

起床6時間後に目を閉じる
睡眠-覚醒リズムを整える


ヒトは、大脳の働きを高めるために1日に2回眠くなる仕組みになっています。最初に眠くなるのは起床後8時間。6時起床の人なら14時と朝4時です。
実際、交通事故が起こりやすい時間は14時と朝4時というデータも。

この睡眠-覚醒リズムを知って、午後のパフォーマンスを上げる仮眠の戦術は次の3つ。
気分や眠気に関係なく実施することがポイントです。

1.起床6時間後に5分ほど目を閉じる
2.椅子に座ったまま仮眠
3.起きる時刻を3回唱える(自己覚醒法)

私たちの脳は、目覚めてから時間が経過するほど睡眠物質が蓄積し、働きが低下していくことが分かっています。
そこで、眠気が起こる起床8時間後より少し前の起床6時間後あたり、お昼休みを活用して目を閉じ、眠くなる前に脳の中の睡眠物質を減らしてしまいましょう。
実際、1分でも目を閉じるだけで脳を休めることができます。

夕方・夜の習慣

起床11時間後に姿勢を正す
深部体温リズムの強調

私たちは、深部体温が高いほど活発になり、体温が低くなると眠くなります。
深部体温が最も高いのは、起床11時間後。6時起床の人なら夕方17時。

この深部体温リズムを強調すると入眠がスムーズになり、翌朝のパフォーマンスもバッチリ。

そのためのポイントは以下の3つ。

1.起床11時間後、5分間姿勢をよくする
2.就寝1時間前に入浴やストレッチでいったん体温を上げる
3.入眠時、乾いた冷凍タオルを枕に敷いて頭部を冷やす

深部体温を上げるためには、長く運動できればベストですが、夕方17時や18時に運動するのが難しいことが多いでしょう。
仕事中でも、椅子に座ったまま姿勢をよくすればOK。背筋を伸ばして背中の筋肉を使えば、効果的に体温を上げられるのです。

ただし、夕方運動できないからと、夜中にランニングやジム通いなどで激しい運動をするのは要注意。
深部体温を下げて眠る状態に向かっている時に体温を上げ過ぎてしまうことになるので、運動後3時間は眠りにつけない状態に。
日勤の人なら、休日の夕方に思い切って運動したり、眠る前は体を軽く動かす程度にしたりするほうがベターです。

また、眠る直前まで仕事をしていたりすると、頭の体温だけが下がらず寝付けないこともあるでしょう。
そんな時は、物理的に頭を冷やすことで入眠しやすくなるので、寝付けない時はお試しを!
※首を冷やすと中枢神経などに影響して危険なので、耳から上の脳だけを冷やすように注意を。

スリープ・マネジメントのコツは、負担なく継続すること

最後に、これから企業で“スリープ・マネジメント”に取り組む際のアドバイスを菅原先生に伺いました。

「“生産性を上げる”という共通目標を持つ企業だからこそ、仕事のツールという明確な目的で“睡眠”を教育できるのだと感じます。
これが企業でスリープ・マネジメントを行う大きなメリットです。
そして、パフォーマンスが上がる睡眠リズムをつくるコツは、継続すること。
人間の脳は、1度に多くの習慣を変えられないので、大上段に構えると続かなくなってしまいます。
既にある研修や健診などに“睡眠の法則”をプラスし、睡眠の見直しを促すことをおすすめします」

前述の「光、眠気、体温」のリズムの中で、1つでも実践できれば、他もシンクロして全体のリズムも整いやすくなります。
1つだけと思えば精神的な負担にもならないでしょう。

気負わず“睡眠の法則”を取り入れ、未来の豊かな成果につなげていきましょう!

この記事の監修

菅原 洋平

ユークロニア株式会社代表・国際医療福祉大学卒。企業を対象に脳の仕組みを活用した人材開発を行う。著書に「あなたの人生を変える睡眠の法則」(自由国民社)など多数。

実績
通常勤務のみならず、交代制勤務に対して、個人、組織で取り組める対策の研修も多数実施。運輸業界では不規則な勤務への対策を研修し、事故率の低減を実現している。

※本記事の無断転載及び複製等の行為は禁止しております。
※本コラムに記載されている一切の情報は、その効能効果、安全性、適切性、有用性、完全性、特定目的適合性、最新性、正確性を有することを保証するものではありません。詳細については、「サイトご利用にあたって」第4項をご確認ください。