健康経営

2018/02/06

保健指導のポイントを整理!特定保健指導との違いとは?

≪産業医監修≫従業員の健康増進、そして健康経営の実施のためには、適切な保健指導を行うことが重要です。ここでは、保健指導と特定保健指導との違いをはじめ、保健指導に取り組む際のポイント、実施事例をご紹介します。

従業員の健康増進、そして健康経営の実施のためには、適切な保健指導を行うことが重要です。
ここでは、保健指導と特定保健指導との違いをはじめ、保健指導に取り組む際のポイント、実施事例をご紹介します。保健指導について、理解を深めましょう。

保健指導と特定保健指導との違い

保健指導とは、医師・保健師・看護師・栄養士などの医療者が、生活習慣病などの病気の予防や健康維持・増進を目的として、運動・食事のほか睡眠・飲酒・喫煙などの生活習慣について改善の助言を行うことをいいます。

病院で治療を受けるなかで行われるだけではなく、定期健診や個別健康相談、職場のセミナーや市民公開講座など、さまざまなシチュエーションで幅広く実施されています。

こうした広い意味での保健指導とは別に、平成20年4月からはメタボリックシンドロームに着目した「特定健診(特定健康診査)」および「特定保健指導」が新たに実施されるようになりました。

「特定保健指導」とは、40歳以上75歳未満の人を対象とした特定健診の結果、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による予防効果が大きいと期待できる人に対して、保健師や管理栄養士などの専門スタッフが行うサポートを意味します。

ここでは、対象者を限定した特定保健指導についてではなく、広い意味での保健指導に関する実施例や実施の際のポイントについて、ご紹介します。

企業労働者向け保健指導例

保健指導の内容

保健指導の内容は主に生活習慣改善であり、「栄養指導」「運動指導」「生活指導」の3つに大きく分かれます。

健康指導には、個別指導と集団指導の2つの方法があります。従業員の作業内容・作業量・労働時間・勤務形態など職場の就業環境に留意しながら、適切な指導方法を選ぶことが重要です。

「栄養指導」が必要な人に対しては、栄養の摂取量だけでなく各人の食習慣の評価とその改善に向けた指導を行います。
「運動指導」が必要な人に対しては、個人の身体状況・身体活動レベル、趣味や希望などを考慮してプログラムを作成し、安全に楽しく、かつ効果的に実践できるよう指導します。

「生活指導」が必要な人に対しては、勤務形態や生活習慣が原因と考えられる健康上の問題を解決するために、職場の生活を通して睡眠・喫煙・飲酒・口腔ケアなど、健康的な生活への指導・教育を行います。

保健指導の対象者

保健指導の対象となる人を選定するためには、まず健診の結果から受診者を「情報提供レベル」「保健指導レベル」「受診勧奨レベル」の3つの健康管理区分に階層化します。

健診結果が正常範囲ではあるものの悪化の傾向がみられる場合や、問題となる所見がなくても問診票から把握される生活習慣に偏りや問題がある場合には、「情報提供レベル」として、生活習慣改善のための知識や情報の提供を目的とした指導を行います。

健診で指摘された所見がある場合には「保健指導レベル」に区分し、改善するための保健指導を行います。
内容は主に生活習慣指導が中心となりますが、検査数値が保健指導レベルに当てはまる項目が複数ある人は優先的に保健指導の対象となります。

検査数値が悪く精密検査が必要な場合や、診断が確定して医療を受けるべき場合には「受診勧奨レベル」となります。
医療機関を確実に受診するよう指導し、主治医との連携による療養指導を実施する必要があります。

保健指導の実施事例

自動車運送業のある企業では、運転士が運転中に脳血管疾患を発症したことを契機に「健康起因事故ゼロ」に向けて以下の取り組みを行いました。

健康診断後の精密検査・受診の勧奨および保健指導実施

健診で要精密検査・要受診となった人たちを対象に、各事業所を回って受診勧奨に絞った約30分の個別保健指導を155人に実施。
その際、対応方法に困っている課題について情報を集め、オリジナルのQ&Aを作成して管理監督者研修で紹介したところ、精密検査の受診率が向上しました。

管理監督者研修の実施

本社の幹部と各営業所長約20名を対象に、講義とグループワークからなる180分の研修を実施。
職場でできる取り組みをグループワークで検討した結果、各営業所で血圧測定や健康状態の申告を行い、体調不良等の申告があれば乗務を交代する風土が醸成されるようになりました。

安全管理研修への健康管理プログラムの導入

各事業所で毎月実施している安全管理研修に健康管理プログラムを加え、動脈硬化予防をテーマにさまざまな切り口で40分の講義を継続実施したところ、保健指導の際にも動脈硬化に対する理解が進むようになりました。

政府の取り組み

厚生労働省の公式ホームページでは、健診や保健指導を効果的に実施するため、健診・保健指導に関わる医師・保健師・管理栄養士などのほか、事業にかかわる人たちが理解しておくべき基本的な考え方や実施時の留意点などをまとめ、公開しています。
「標準的な健診・保健指導プログラム」は必要に応じて追記・修正され、現在は平成30年度版(案)が公開されています。
※参考:標準的な健診・保健指導プログラム(案)【平成30年度版】

保健指導に取り組む際のポイント

取り組んだ保健指導内容の記録

実際に企業で保健指導を行うにあたっては、健診の結果だけでなく勤怠管理データやアンケート調査票、これまでに取り組んだ保健指導の内容とその結果など、従業員の健康状態に関するさまざまな情報が必要です。
しかし、企業側がこれらのデータをすべて記録・管理することは非常に手間がかかり、大きな負担となります。
この課題を解決するためには、従業員の健康促進・支援を目的とした健康管理アプリなどを導入することが有効です。従業員各人が自らアプリを使うことにより、自分自身の健康に関する意識を向上させることができます。

記録内容を基にした評価

また企業側も、アプリで記録されたデータから従業員の残業時間超過と睡眠時間との関係性などを分析することができるため、改善に向けた取り組みの裏付けとして活用することができます。
データから発見した課題や問題点をもとに社内の業務改善プロジェクトなどに結びつけることができれば、業務効率の改善にもつながり、ひいては企業全体の評価を高めることも期待できます。

保健指導に関する記録と管理をサポートする方法

保健指導に関する記録やその管理には、いくつかの方法があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

記録用紙

紙ベースのフォーマットに直接記入する方法は、特別な知識やスキルを必要とせず、導入時の初期費用もあまりかかりません。
しかし、事務処理や管理の手間が増えるため人件費が増大することに加え、データ管理の面からみても長期的な運用には不向きです。
また、何らかの問題が発生した場合にも気づきにくく、課題点が見過ごされる可能性があります。

健康管理プログラム

健康管理を目的とするプログラムの導入は、従業員一人ひとりの意識づけには効果的な取り組みのひとつであるといえます。
永年勤続だけでなく有給取得率が高い社員を表彰する制度などを設けることも、健康管理に関する意識改革を促すことにつながります。

健康管理システム

健康管理システムを導入し、健診結果だけでなく問診やアンケート調査票などの内容も含めて必要な情報をすべて電子化することで、長期的な運用を実現し、管理費の削減にもつなげられます。
また、従業員各自が使用する健康管理アプリなどとデータを連携することにより、健康経営に関する課題点の抽出や最適化がより効率的に行えるようになります。社内に蓄積されたデータに基づいて傾向を把握するため、使えば使うほどより多くのデータが集まり、精度が高くなります。

保健指導について、理解は深まったでしょうか。従業員の健康増進、そして健康経営の実施のためには、適切な保健指導を行うことが重要となります。
社内に蓄積された健診データを管理する健康管理システムの導入に加え、従業員個人が使用するアプリとデータを連携させることで、従来の紙ベースによるデータ管理の煩雑さが解消され、長期的な運用とコスト削減を可能にします。
社員一人ひとりが自分自身の健康に対する意識を高め、また企業における健康経営のマネジメントをサポートするためのツールとして、ぜひ健康管理アプリの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修

西本 真証

医師
ヘルス・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役
センクサス産業医事務所 パートナー

産業医科大学 医学部医学科卒業。産業医実務研修センター、新日鐵住金(株)専属産業医、(株)三越伊勢丹ホールディングス統括産業医を経て現職。
専門は、産業医学、メンタルヘルス、健康経営。日本産業衛生学会 産業衛生専門医、社会医学系 専門医・指導医。現在、複数の日系企業や外資系企業の産業医、コンサルティングを行っている。

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