組織の活性化

2019/11/01

チームビルディングの意味や方法を解説。組織改善による健康経営の取り組み

組織改善の効果的な方法としてチームビルディングが重要視されています。共通の目的意識を持ったチーム作りは、職場環境の改善だけではなく生産性の向上や組織の業績や成果につながるなど様々なメリットがあります。そこで、この記事では組織改善について考えている企業の方向けに、チームビルディングの実践方法を紹介していきます。

組織改善にはチームビルディングが効果的とされています。チームビルディングは社員同士の信頼関係を構築し、仕事の連携力を高め、労働効率や生産性の向上が期待されます。また、議論の活性化や新しい挑戦がしやすい空気が醸成されるなどのメリットもあります。そこで、ここではチームビルディングの効果や具体的な実践方法を紹介します。

チームビルディングとは?

チームビルディングとは、同じ組織に所属する人や目標を共にする仲間が、特定の目標の達成を目指して力を合わせて取り組み、一人ひとりが主体的に能力を発揮して成長・協力し合えるようなチームを作る活動全般を指します。通常、優秀な人材を集めれば優れたチームができるように感じますが、実際はそうではありません。これまではリーダー1人の指揮の下で活動する、もしくは周りの人が競争相手であるという環境が一般的でした。しかし、現代はVUCAワールドとも呼ばれており、状況の変化に素早く対応できる組織作りが必要不可欠になってきています。

VUCAワールドとはVolatility(不安定)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑化)・ Ambiguity(曖昧)の頭文字を取ったものです。具体的にはテクノロジーの発達と複雑化・従業員のニーズの多様化・国際情勢の不安定化など、時代の特徴や流れのことを指し、企業はこれらの変化に対して迅速かつ柔軟に対応していかなければなりません。
そのためには、メンバーそれぞれが主体性をもって働き、各個人の強みや弱点を補い合えるような体制を作ることが大切です。こうした体制を目指す活動をチームビルディングと呼び、その重要性に注目が集まっているのです。

チームビルディングにおける「チーム」の意味

チームには「共通の高い目標や理想をもって一致団結し、高い意欲で容易ではない目的を成し遂げていこうとする組織」という意味合いがあります。似た言葉にグループがありますが、グループは共通的なものをもった単なる集団であり、共通の目的に向かっていくような意味はありません。また、互いに協力し合って目的を達成するだけでも不十分です。チームに属する個人は常に成長を続け、一人ひとりが能力を最大限に発揮して組織に貢献し、目標を達成できる活動を持続的に行えることが重要になります。

会社組織においては、同じ組織に所属していて、なおかつ共通の目的をもって経済活動を展開することが求められます。そういった主体的な社会集団として経済活動を実践していくには、仲間同士の協力関係だけではなく個人の成長や仲間との相互理解、自分の役割の自覚など様々な力を身に着ける必要があります。

チームビルディングとはどのような取り組みか

チームビルディング自体が「個々人がリーダーシップを発揮し、困難な目標に対して仲間と力を合わせ、大きな成果を上げていけるような組織を作る活動」を指しているため、取り組みもこの活動に準じます。そのため、集団活動を通して社員同士の信頼関係を深め、みんなで思いを一つにして目標に向かっていく感覚を養うなどの方法が採択されます。

例えば、社員旅行やアウトドア活動などを開催すれば、社員同士のコミュニケーションが活発になり、チーム活動の土台となる関係性がより強固になります。合宿やワークショップ、研修を実施すれば、プログラムを通して困難な目標に向かって夢中で取り組む達成感を学んだり、チームの問題点の理解と改善が促されたりもするでしょう。

しかし、最も重要なのは日々の業務の中で継続的にチームビルディングに取り組むことです。例えば、定期ミーティングで日々の連絡・伝達の仕方を振り返って改善点を考える、部署内の目標やビジョンを見直す、チームの関係性が良くなるような人事制度を導入するなどの方法が挙げられます。

チームビルディングの実施目的とは

チームビルディングの目的は、主に組織ビジョン・ミッションの浸透やマインド作り、職場内のコミュニケーションの活性化、部署や組織の効率・生産性の向上です。組織のビジョン・ミッションを達成していくには、社員も同じ意識を共有していなければ上手くいきません。ですから、協力して目的を達成していくマインドと文化を会社全体に浸透させていくことが大切です。しかし、いきなり会社全体に浸透させることは困難です。そこで、会社の最小活動単位であるチームを構築する活動が有効になってきます。チームビルディングの実施が職場やチームの一体感をもたらすと、個々人が能力を主体的に発揮し、周りの人と協力し合って仕事をこなしていく土壌が生まれ、冒頭の目的の達成を促します。

チームビルディングのメリット

チームビルディングの利点は様々です。社員同士の距離が近くなり、困ったことがあれば相談しやすい環境は離職率の低減につながり、事業や業務に精通した人材の育成を促進します。そして職場の人間関係が良好になれば、社員間の信頼関係が厚くなり、協力や切磋琢磨しやすい環境が生まれ、各個人が自身に不足している技能について自発的に克服しようとする、もしくは長所をより伸ばすための自発的な努力を促すことができます。さらにチームへの貢献意識から、ほかの人の弱点を補うように動き、仕事への意欲が増して効率的な行動が促進され、生産性の向上につながるといった利点も挙げられます。
また、困難な問題に直面しても、力を合わせて困難を乗り越える成功体験が得られれば、社内の協力関係がより深くなり、失敗を恐れず新しいチャレンジにつながっていくでしょう。

社内でチームビルディングの対象になるのは誰か

基本的には企業に属する社員全員が対象です。新入社員だけではなく契約社員やパート、中堅社員・管理職・役員などの全員が一丸となって取り組むことが理想的です。ただし、実施する目的や部署の活動内容によって違いがあります。例えば管理職や経営陣であれば、複雑なマネジメントを要求する状況をモデルにした課題や、難易度の高い課題に挑みます。

チームビルディングの5段階「タックマンモデル」

チームビルディングについてある程度理解ができたところで、チームが発展していく過程を5つの分類に分けて表した「タックマンモデル」について解説していきます。この名称は提唱者のブルース・タックマンが由来で、この理論によれば集まったメンバーは5段階の発展を経験し、それぞれ成長しチームの課題を一丸となって乗り越えていくとされています。このモデルを理解することができれば、チームの現状把握やこれからの課題・目標を見据えることも可能です。

①チーム結成直後の「形成期」(フォーミング)

仲間が集まって間もない段階を形成期といいます。集まった仲間はお互い遠慮や謙遜、様子見をしながらほかの人の価値観や性格などを知っていきます。リーダーは次の混乱期の段階にチームを移行させるために能動的な行動をとる必要があります。例えばリーダー自身も仲間のことをよく知り、仲間同士の交流の様子などを見て次の段階に移る障害になりそうな課題を見つけていきます。

②相互理解が重要な「混乱期」(ストーミング)

仲間同士の価値観の違いにより主張のぶつかり合いが増える段階が混乱期です。チームの目標・プロジェクトが決定し動き出す時期でもあります。この段階で注意したい点は意見の衝突が起きることは悪いわけではないという点です。それぞれの個人がもつ価値観を出し合ってお互いの理解を深めていく過程が次の統一期へ進むための近道です。

③チームがまとまる「統一期」(ノーミング)

仲間がお互いの価値観をよく理解し、秩序や調和が生まれる段階です。チーム内で自分が担うべき役割を自覚し、仲間同士の思いやりも芽生えてきます。次の機能期に移るにあたって、リーダーが率先して仲間の個性を生かした役割分担を行ったり、納得感のあるチームの目標を立てたりするなどの活動がポイントになります。また、メンバーの仕事の進捗状況を見てフォローしたり、仲間同士の協力や挑戦・達成意欲を湧かせたりなどのコミュニケーションも重要です。

④成果が出てくる「機能期」(パフォーミング)

メンバーが役割を全うするだけでなく、仲間同士のフォローも活発になる段階です。チームの一体感や結束力が増します。仲間がそれぞれ自立して目標達成に向かい、最も業績を上げていく時期でもあります。リーダーも統一期から引き続き、仲間のフォローや意欲を底上げするような喚起・活動を実施し、周囲の人の仕事に対する意欲を引き出していきます。

⑤チームの活動が終わる「散会期」(アジャーニング)

プロジェクトの達成やメンバーの異動・退職などによりチームが解散する段階を散会期といいます。チーム作りが上手くいったかどうかは解散時の反応で分かります。解散での別れを惜しむ、称賛・褒め称え合うような反応が見られた場合は、チーム作りが上手くいったと考えていいでしょう。区切りとしてイベントを開催するとメンバーも気持ちの切り替えがしやすいといえます。

チームビルディングの導入に費用はかかる?

仲間を集めただけではただのグループですから、チームを作り上げていく取り組みが必要です。次にチーム作りで重要な、メンバー間の結束力を育む具体的な方法をご紹介します。

ゲームやアクティビティを行う

遊戯を通して一致団結して目的に向かっていく精神を育むことができます。具体的にどんなことをするかというと、例えばゲームならマシュマロチャレンジやドミノ倒しなどがあります。アクティビティであれば、ダンス・チャンバラ合戦・キャンプなど複数人で協力できる内容のものが採用されます。
仲間が集まって間もない形成期であればゲームの実施で緊張をほぐす効果が期待できます。キャンプやスポーツなど協調性が重要になる活動では、連携力を高めメンバー間での交流が活発になる効果が見込めます。

イベントを開催する

旅行やバーベキューなどを開催し、結束力を高めていきます。イベントでプライベートに近い仲間の姿を知り、相互理解と親睦が深まれば、仕事上でのトラブルについても相手のことを考えてフォローすることができるようになると考えられます。また、会社外での接点が見つかれば、個々人がプライベートでもつながることができ、仕事上の結束力に良い影響を与えることが期待されます。特に家族が参加するイベントを開けば、新たな一面が発見しやすくなるでしょう。

ワークショップでの共同作業

ワークショップとは体験型講座とも呼ばれる取り組みで、作業しながら行うセミナーです。チームで共同作業を行いながら実際に役に立つ課題に挑戦します。仲間と議論・試行錯誤をしながらどのように成果を出すかという取り組みから、チーム活動の基礎を学ぶことができます。また作業する中で自分や他の人の考え方や得意・苦手なことを知るなど、相互理解にも役立ちます。

普段の業務におけるコミュニケーション

仕事の状況によってはイベントの時間を取ることが難しい場合があるでしょう。しかし、日ごろの業務でも実施する機会は十分にあります。例えばメンバーの人格を尊重して否定しない・気遣う・有益な情報共有を行う・相手の良い部分を褒める・アイスブレイクで緊張感をほぐすなど、普段の業務におけるコミュニケーションはたくさんあります。また、特別なイベントではなく、日ごろの業務でチームビルディングの効果が出ることが一番の成果ですので、日常のコミュニケーションでの実践も重要です。

チームビルディングと健康経営の関係

健康経営という言葉が注目され、昨今は従業員の健康を重要視して経営課題として捉えることが大切だとされています。健康経営の一環でチーム作りを行うと、職場内でのコミュニケーション不足が解消する、社内の連携力向上によって業績がアップするなどの効果が期待できます。ちなみに世界的大手企業であるGoogleも導入しています。また、チームビルディングの最大の目的は、心理的安心感ともいわれています。例えば自分の意見を押し殺したり、他人の顔色を窺ったりなどストレスが発生しない人間関係を職場内で構築することができます。

さらに健康経営を重視する企業は、従業員一人当たりの健康コストが約30万円削減できるというデータもあり、健康経営を重視することはコスト削減にもつながります。この健康コストには医療費、従業員が体調不良や病気で欠勤することを指すアブセンティーイズム、休むべき状態で無理して働くこと・体調不良で仕事の遂行力が落ちたまま働くことを指すプレゼンティーイズムが含まれます。健康経営に取り組むことで、この3つの健康コスト(損失)を改善することができれば、心理的安心感や損失コストの改善につながります。

社員の健康を考えたチームビルディングの方法例

社員同士の結束力を高めるだけでなく、健康を考えることも重要です。次にチームでの活動で健康にもつながるものをご紹介します。

セーリング

セーリングとは海風の力と帆を利用して船を動かす遊びです。セーリングの乗組員としての役割を一人一役任され、船を思った通りの方向へ動かして仲間と連携する感覚と一体感を養います。チームの関係性や結束力を高め、臨機応変に問題を解決する能力を身に着けられる活動として海外では人気があり、検索エンジンでおなじみの大手IT企業Googleもとりいれています。

ゴーカート

ゴーカートは他のチームとタイムを競い合うシンプルなルールのアクティビティで、仲間と相談しながら戦略を練り、カートの乗り換えなどの試行錯誤を繰り返します。そうして頭と体を使いながら工夫する中でチームワークを高めることができます。ディズニーの映画でおなじみのピクサーが行ったこともあるアクティビティです。

インドアゴルフ

一般的にゴルフといえば道具をそろえるためにまとまった費用がかかるイメージがありますが、インドアゴルフは手ぶらで始めることが可能です。ゴルフは老若男女問わず親しまれているアクティビティであり、適度に体も動かすため健康にも良い影響が期待できます。また室内で行うため天候を気にする必要がなく、やりたいときにできます。大手IT企業のFacebookが実践したアクティビティです。

チーム作りによる社会環境の適応と職場環境の改善は、組織だけではなく、企業を支えている従業員にも大きなメリットがあります。これからの時代で生き残っていくためにも良いチームを組織内で育てていくことがより重要になっていくでしょう。

編集部

ヘルスケア通信の編集部

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